2022年度地域減災研究ワークショップ

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Ⅰ.研究発表
1. 日 時: 2022年8月5日(金) 12:30~18:40
2. 開催方法:減災ホールおよびオンライン発表(Zoom)

Ⅱ.オンライン交流会
1. 日 時: 2022年8月5日(金) 18:40~20:00
2. 開催方法:減災館 411 号室およびオンライン(Zoom)

開会式:12 時 30 分~12 時 40 分
挨拶 飛田潤 減災連携研究センター センター長

セッション 1:水災害研究 【12 時 40 分~13 時 40 分】
座長:羽田野拓己(名古屋大学)
1-1 明治用水頭首工大規模漏水によって起こりえたワーストシナリオの検討
○橋冨彰吾(名古屋大学)
1-2 豊川霞堤による流域治水およびその周辺地域の利用に関する研究に向けて
○髙橋大聖,富田孝史(名古屋大学)
1-3 河川整備と都市計画の連携に着目した実現可能な流域治水施策の検討
○山田拓実,廣井悠(東京大学)

セッション 2:災害対応 【13 時 50 分~15 時 10 分】
座長:木作尚子(名古屋大学)
2-1 市街地火災避難における最適な行動規範の検討
○釘崎理,廣井悠(東京大学)
2-2 Quantifying the Benefits of Nature-based Solutions in Disaster Management: A Review of Literature
○MARTY Joeylyn Nato, HIROI U (University of Tokyo)
2-3 南海トラフ地震における水道事業体の応急給水活動への災害暴露評価
○瀧石さくら,平山修久(名古屋大学)
2-4 災害時の道路啓開に関する効率的戦略導出に資する研修ツールの開発
○倉田和己(名古屋大学),新井伸夫(日本気象協会)

セッション 3:耐震建築・免震 【15 時 20 分~16 時 40 分】
座長:平井敬(名古屋大学)
3-1 10 層鋼構造骨組におけるカーテンウォールセンシング技術を用いた建築耐震性能評価のための実験と解析
○金家良,鈴木里佳子(名古屋大学)
3-2 都市建物の確率論的性能評価手法を用いた地震時終局性能評価
○高谷和樹,太田和杜(名古屋大学)
3-3 鉄筋コンクリート造建物の耐震性向上の実験を再現する数値解析と終局確率論的性能評価手法
○浅井健志郎(名古屋大学)
3-4 動的加力実験に基づく免震用オイルダンパーの減衰性能に関する研究
○角空音,中村悠太,飛田潤, 福和伸夫(名古屋大学)

セッション 4:地震・活断層研究,防災教育 【16 時 50 分~18 時 30 分】
座長:蛭川理紗(名古屋大学)
4-1 地震危険度測定調査から見た帝都復興事業とその後の東京
○武村雅之(名古屋大学)
4-2 MEMS 地震計を利用した高密度地震観測網の展開
○斎藤侑賢,飛田潤(名古屋大学)
4-3 2016 年熊本地震の地表地震断層周辺における地表変位解析
○山下日和(名古屋大学)
4-4 地域連携型災害対応を目指した基礎自治体間の事前検討過程の整理
○千葉啓広,野村一保,平山修久,福和伸夫(名古屋大学)
4-5 児童の経験と発想を生かした防災教育の実践 -災害発生のメカニズムに着目して-
○長島雄介,阪本真由美(兵庫県立大学)

閉会式:18 時 30 分~18 時 40 分
挨拶 鷺谷威 減災連携研究センター 副センター長

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第139回げんさいカフェ(ハイブリッド)を開催、報告文を掲載しました

飼い馴らさない防災学

ゲスト:泥くさい防災研究者 田中 隆文 さん
(名古屋大学大学院生命農学研究科准教授/減災連携研究センター兼任・協力教員)
日時:2023月6月8日(木)18:00~19:30
場所:名古屋大学減災館1階減災ギャラリー・オンライン
企画・ファシリテータ: 隈本 邦彦 さん
(江戸川大学特任教授/名古屋大学減災連携研究センター客員教授)

 今回のカフェのタイトルは「飼い馴らさない防災学」。
 謎めいたタイトルです。飼い馴らされた科学とはいったい何なのでしょうか。
 「科学と社会」の関係について深い考察をされている今回のゲストの田中さんが、ひとつの例としてあげてくださったのが気象庁の「土砂災害の危険度分布=土砂キキクル」でした。
 このシステムは、過去の災害履歴のデータなどをもとに、いまの雨の振り方だと、その場所の土砂災害の可能性がどれくらい高くなっているかを示すもので、普段私たちも頼りにしているものです。
 しかしその計算の時には、過去の災害履歴のうち、落石や地滑り、単発の崖崩れ、人里離れた場所の崖崩れなどのデータは除外されているのだそうです。
なぜなら再現性、客観性、普遍性を追求することが通常の科学の手法であり、それらの例外的なデータを全部入れてしまうと、あまりに複雑すぎて、いつも成立するきれいな計算式にならないからです。
 しかし、現実にはそうやって例外だからと外したところで、崖崩れが起きてしまうことだってあり得ます。
 田中さんは、その場所で実際に災害が起きるかどうかは、そうやって科学者が大事にしているやり方「普遍性」「客観性」「再現性」とは真逆の「個別性」「当事者性」「一過性」が重要な要素になるとおっしゃいます。例えばこの道はいつも大雨のたびに水浸しになるといった、町内会単位、あるいはその川の流域単位で、地元の人ならみんな知っているような、いわば「地域の知恵」がより重要なのだそうです。
 こうした「個別性」「当事者性」を加味せずに、数式だけでわかったつもりになっている科学、つまり「飼い馴らされた防災学」ではダメだというのが、田中さんのご意見です。

 

 ではどうすれば「飼い馴らされない科学」になるのか。
 田中さんはその解決策の一つとして、地域の知恵をもりこんだ「地区防災計画」の普及がカギだとおっしゃっていました。これは市町村の地域防災計画よりもっと細かい、町内会単位などでつくる防災計画で、まさに「個別性」「当事者性」が大切にされます。それを市町村の地域防災計画に盛り込むことができるのです。
 専門家のもつ「普遍的」で「客観的」な知識の上に、地元住民のもつ「ローカルな知識」を上乗せして決めることができ、しかも現実にあわせて何度も何度も作り直すこともできるので「一過性」の想定外をなくしていくことができるということです。

 東日本台風と名付けられた2019年台風19号の時、千曲川の堤防が決壊して浸水した長野市長沼地区穂保には、あらかじめ地区防災計画が作られていたため、住民の素早い避難が実現し、人的被害を最小限に抑えることができたという実例があります。

 思えばこのげんさいカフェも「科学と社会」とのより良い関係を求めて、双方向コミュニケーションの実現を目指しています。その考え方=哲学が、地区防災計画の重要性ともつながっていることを初めて教えていただき、まさに目からウロコのカフェでした。
 今回も166人の方に、会場とオンラインでご参加いただきました。田中さん、参加者のみなさん、ありがとうございました。

 

→ポスター(PDF)

→過去のげんさいカフェの様子はこちら
 

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「自然災害の経験を未来へつなぐー名古屋大学減災館の活動からー」を開催しました


※こちらのイベントは終了しました。

減災連携研究センターは、下記の通り、「自然災害の経験を未来へつなぐー名古屋大学減災館の活動からー」を開催いたします。ご参加くださいますよう、よろしくお願いいたします。



→チラシはこちら(PDF)

自然災害の経験を未来へつなぐー名古屋大学減災館の活動からー

減災館では地域と連携した防災・減災研究と活動を展開しています。
これまでの地域の自然災害に関する展示と、将来に向けた活動をご紹介します。

■期 間:2023年6月20日(火)~ 7月9日(日)

■時 間:10:00~18:00
    (月曜休館。土日は17:00まで。最終日7/9は16:00まで。)

■場 所:名古屋都市センターまちづくり広場・ホール
     名古屋市中区金山町1-1-1 金山南ビル11F
     
 
■参加費:無料

■7/9(日)最終日スペシャルイベント

10:30〜12:00 ギャラリートーク
数人のセンター教員が、減災に関するいろいろな話題をコンパクトに提供します。
出入自由ですので、一部でも気軽にお聞きください。

  ・減災館のさまざまな活動
    飛田 潤(センター長・共創社会連携領域教授)
  ・しんとおる~幸田露伴と関東大震災
    都築 充雄(中部電力寄附研究部門特任准教授)
  ・災害時のライフラインについて考える
    小沢 裕治(東邦ガスネットワーク産学協同研究部門特任准教授)

13:30〜15:30 シンポジウム (事前申込要・現地参加のみ)
「伊勢湾台風の災害記録をひも解いて改めて見えてきたこと」

  話題提供1「伊勢湾台風によって決壊した海岸・河川堤防とその仮締切作業」
        田代 喬(名古屋大学減災連携研究センター特任教授)
  話題提供2「伊勢湾台風による名古屋市の避難者分布を明らかにする取り組み」
        荒木 裕子(京都府立大学大学院生命環境科学研究科准教授)
  話題提供3「伊勢湾台風に関する情報の地図上への集約とその解釈」
        倉田 和己(株式会社ファルコン/名古屋大学減災連携研究センター博士研究員)
     
  総合討議: 講演者、コメンテーター
        コメンテーター:富田 孝史(名古屋大学減災連携研究センター教授)

※会場の様子
 

 

 

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第138回げんさいカフェ(ハイブリッド)を開催、報告文を掲載しました

トルコ・シリア地震、何が起きたのか

ゲスト:地殻変動学者 鷺谷 威 さん
   (名古屋大学減災連携研究センター教授)
日時:2023月5月29日(月)18:00~19:30 
場所:名古屋大学減災館1階減災ギャラリー・オンライン
企画・ファシリテータ: 隈本 邦彦 さん
(江戸川大学特任教授/名古屋大学減災連携研究センター客員教授)

 今年2月に起きたトルコ・シリア地震では5万人を超える方が亡くなるという大災害となってしまいました。そこで、げんさいカフェでは2回にわたってこの地震を考えてみることにしました。
 第1回目は「何が起きたのか」ということで、地震や地殻変動に詳しい鷺谷威さんにお話いただき、8月には第2回目として耐震工学に詳しい長江拓也さんに「被害の特徴」などについて伺うことにしています。

 さて「何が起きたのか?」ということですが、今回のトルコ・シリア地震はマグニチュード7.8と7.5という、どちらもめったに起きないくらいの大きな地震が、同じ日に、しかもすぐ近くで起きるという、世界の地震の歴史の中でも非常に珍しい地震だったということです。
 最初の地震が、現地時間の午前4時17分、そして最大余震ともいうべき2番目の地震はその日の午後1時24分ですから、約9時間後ということになります。こうやって大地震が連続で起きたことが、今回たくさんの犠牲者が出た理由の一つと考えられます。
 地震は、ご存知の通り、地下の断層に歪みがたまって、それが一気に解放される時に起きます。今回この二つの地震を起こした震源断層は、同じ東アナトリア断層帯に属しているものの、いちおう別のものだということで、どうやら最初の大地震が起きたことで、次の地震が起こりやすくなって誘発されたのだと推定されています。
 大きな地震で周辺の地下の歪みの分布が変わり、そこに地震が起きる寸前の状態になっていた断層があったために、誘発されて地震を起こすという現象が起きたと考えられるそうです。

 

 今回の地震では「なるほど地震はこういう起き方もするのか」と驚かされる点がいくつかあったそうです。
 例えば1回目の震源地震は、東アナトリア断層帯の中でも、ここ1000年近く地震が起きていなかったと考えられる、いわゆる空白域にあたる場所でした。一方、今回の震源断層の北側と南側には、それぞれ100年から200年ほど前に地震を起こしていた断層がありました。それが今回は、北側と南側の断層も一緒に動いて地震を起こしていたことがわかったというのです。つまり断層がA・B・Cと連なっているところで、そのうち真ん中のBだけはここ1000年ほど動いていなかったので、次はBだけが動くのかなと思っていたら、なんとA・B・Cが全部一緒に動いてしまったというわけです。
 地震断層が長くなればなるほど地震で放出されるエネルギー=つまりマグニチュードが大きくなります。それで今回はマグニチュード7.8という、内陸の地震としては世界最大級の地震になってしまったようです。
 鷺谷さんは、このことは今後の地震を考える上で大きな教訓となると話していました。
 というのも現在日本でも、例えばある活断層で将来起きる地震の可能性を予測する場合、その活断層の長さと、過去何千年に一度くらい地震を起こしていたかなどを調べて、それを予測の根拠としています。しかしそれはある活断層が、同じような大きさの地震を同じ場所で繰り返し起こしているということを前提にした考え方です。
 しかし今回のトルコ・シリア地震は、必ずしもそういう起き方ばかりではないと、我々に教えてくれたのではないかと鷺谷さんはおっしゃっていました。

 また今回のように、地震が起きる寸前の状態にまでなっている活断層があると、近くで起きる大きな地震によって誘発され連動することもあるということも重要です。これは以前から知られていた現象ではありますが、それがこのような大地震も誘発することがあるということには、私も驚かされました。
 日本でも1586年の天正地震は、近畿、東海、北陸の広い範囲で甚大な被害が出ていながら戦国時代という時代背景もあって記録があまり残っていないため、実はどこが震源断層なのかいまだに論争になっているという謎の地震です。しかしこの地震も、いくつかの震源断層が連動して起きたと解釈することができれば、あまりに広い範囲の被害をうまく説明できるかもしれないということでした。
 その10年後の1596年に立て続けに起きたとされる慶長豊後地震、慶長伊予地震、さらにその直後に起きたとされる慶長伏見地震も、同じ中央構造線ぞいの連動地震と考えることができそうです。つまり今回トルコ・シリア地震で起こったような連動地震が、戦国時代の日本で起きていたのかもしれないということでした。
 東アナトリア断層帯の歪みのたまり方は年間1センチ程度と、日本の比較的活動度の高い内陸の活断層、例えば中央構造線や糸魚川静岡構造線と同じくらいだということで、今回のトルコ・シリア地震も決して対岸の火事と考えてはいけないとあらためて思いました。

 それにしても地震発生からわずか3、4ヶ月で、そんなに詳しい状況がわかるようになったということにも驚かされました。
 鷺谷さんによると、いまは地震系その他の観測データが、ほぼリアルタイムで公表され、世界中の研究者がこぞって分析できるようになっています。そしてそれを解析する手法も年々レベルアップしていますから、今回のトルコ・シリア地震も、すでに3ヶ月ほどで専門家のチェックを受けた査読ずみの論文が10以上もあるそうです。それをもとにした今回のカフェでは「何が起きたのか」をじっくりと考えることができました。
 今回も189人の方に会場とオンラインでご参加いただきました。鷺谷さん、参加者のみなさん、ありがとうございました。

 


→ポスター(PDF)

→過去のげんさいカフェの様子はこちら

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第11回減災連携研究センターシンポジウム(ハイブリッド)を開催しました

減災連携研究センターは、下記の通り、第11回減災連携研究センターシンポジウム(ハイブリッド)「われわれは関東大震災から何を学ぶか?」を開催しました。
ご参加の方はオンラインで203名、現地で36名、合計239名となりました。大変多くの方にご参加いただき、どうもありがとうございました。


※こちらのイベントは終了しました。

減災連携研究センターは、下記の通り、第11回減災連携研究センターシンポジウム(ハイブリッド)「われわれは関東大震災から何を学ぶか?」を開催いたします。ご参加くださいますよう、よろしくお願いいたします。

→チラシはこちら(PDF)

第11回 減災連携研究センターシンポジウム(ハイブリッド)
われわれは関東大震災から何を学ぶか?

 わが国の近代最大の都市被害をもたらした関東大震災から100年。この過去の大災害から現代を生きるわれわれは何を教訓として学び社会経済活動にどのように生かすべきか?
 そのためには、関東大震災の被害様相を正確に整理した上で、その後100年の時を経た、技術開発による社会経済の効率化と都市の発展や、地域コミュニティの希薄化など人間社会の慣習の変化といった、さまざまな社会の変容について紐解く作業が必要である。
 本シンポジウムでは、関東大震災の被害様相を再確認した上で、その後の各分野における大規模災害克服に向けた努力を振り返り、われわれは関東大震災から何を学び今後どう生かしていくべきかを考える。

■日 時 2023年6月23日(金)13:30-16:30 (開場13:00)

■場 所 名古屋大学減災館1階減災ホール
      Zoomウェビナーによる同時配信あり

■プログラム
  司会進行:都築 充雄(センター特任准教授)

 13:30〜13:35 開会挨拶  飛田 潤(センター長・教授)
 13:35〜14:30 基調講演「関東大震災と復興を俯瞰する」
              武村 雅之(センター特任教授)
 14:30〜14:40 休憩
 14:40〜14:55 講演1「1923年関東地震に関する測地観測の今日的意義」
              鷺谷 威(副センター長・教授)
 14:55〜15:10 講演2「建築耐震技術の発展と現在」
              長江 拓也(センター准教授)
 15:10〜15:25 講演3「ライフラインの発展と現在 水道文明と水道文化」
              平山 修久(センター准教授)
 15:25〜15:40 講演4「自治体間の広域連携による災害対応」
              阪本 真由美(兵庫県立大学教授)
 15:40〜15:50 休憩
 15:50〜16:25 ディスカッション 講演者、飛田センター長、都築特任准教授
 16:25〜16:30 閉会挨拶  田代 喬(副センター長・特任教授)


 

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【受付終了】2023夏休みスペシャル減災教室を開催します

◆毎年恒例の「夏休みスペシャル減災教室」今年も開催します!◆

日 時:2023年8月19日(土)13:00~16:00
会 場:名古屋大学減災館
対 象:子ども+付添いの大人
※大人のみの申し込みは不可です。
※高校生以下を「子ども」とします。
定 員:50名
申込み:完全予約制です。

※「2023夏休みスペシャル減災教室」は定員に達しましたので、参加受付終了となりました。ご了承ください。(6月23日)

チラシのダウンロードはこちらから

※タイムスケジュールが決定しました!ダウンロードは、こちらから。

【申込方法】
・見学予約ページの「来館予約フォーム」にご記入ください。申込はこちらから。
・「来館希望日の詳細」については「ギャラリートーク聴講を希望しない」にチェックを入れてください。
・備考欄に高校生以下の人数を入れてください。

※追加情報は、その都度HPに掲載しますので、ご確認ください。

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第189回防災アカデミーを開催しました

内容:安価なセンサーを用いた建物の地震時被災度判定システムの開発 その現状と未来
講師:楠 浩一 さん(東京大学地震研究所教授)
日時:2023年6月20日(火)18:00〜19:30

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受託研究員

(以下、五十音順)
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第137回げんさいカフェ(ハイブリッド)を開催、報告文を掲載しました

100年目に語る 関東大震災研究 事始め(減災館第34回特別企画展「関東大震災」との連携企画)

ゲスト:地震学者 武村 雅之 さん
 (名古屋大学減災連携研究センターエネルギー防災寄附研究部門特任教授)
日時:2023月4月26日(水)18:00~19:30 
場所:名古屋大学減災館1階減災ギャラリー・オンライン
企画・ファシリテータ: 隈本 邦彦 さん
(江戸川大学特任教授/名古屋大学減災連携研究センター客員教授)

 今回は、関東大震災について30年にわたって研究され、いまや日本で最も関東大震災に詳しい地震学者として知られる武村雅之さんにきていただきました。
 今年は関東大震災から100年ということで、最近特にお忙しいそうですが、そこをなんとかお願いして、研究を始めたきっかけやその成果についてお話いただきました。

 武村さんが、地震学者として、関東大震災研究の最初に取り組んだのは、あの震災を引き起こした「大正関東地震」がどんな地震だったのか、詳細を明らかにするということだったそうです。
 そのためには地震計のデータが必要です。
 ところが東京近辺の大学や気象台の地震計はすべて振り切れてしまっており、おそらく国内に地震計の記録はないだろうと、まことしやかに言われていたのだそうです。
 ところが、武村さんはその常識を疑いました。
 きっとどこかに記録があるはずだ、と、いろんなツテを頼って探していたそうです。
 そして1992年12月、地震から約70年後に、当時の地震計の記録が岐阜地方気象台にあることを見つけたんだそうです。
 その発見の経緯が、とてもドラマチックでした。
 とにかく古い記録ですから、気象台の職員の方と一緒に倉庫の中の大量の地震計の記録をひっくり返して探したのですがまったく見つからない。そして夕方、半ばあきらめかけて、気象台長の部屋で「ご協力ありがとうございました」とあいさつをしていたら、一緒に探していた職員の方がふと思いついたように、ちょっと待ってくださいと、もう一度倉庫に戻っていったそうです。そしたらその直後、棚の上においてあった箱の中から、大正12年9月1日の地震記録が見つかったのだそうです。

 “探すのをやめた時、見つかることもよくある話で”と昔の歌の歌詞にもありましたが、そんな感じでした。
 そうやって発見された記録をさっそく分析すると、本震の3分後と4分半後に、2つの大きな余震が立て続けに起きていたことがはっきり記録されていました。いずれもマグニチュード7を超える大地震です。
学問的にも、これは大発見でした。大正関東地震の揺れは、遠くオーストラリアやヨーロッパなど海外でも観測されていたのですが、本震の揺れにまぎれてしまい、この直後の2つの余震の証拠は見つかっていませんでした。それが震源から200キロ余り離れた岐阜測候所(当時)にあったということなのです。
 これを見つけた時、身震いするほど感動した。と武村さんはおっしゃってました。この波形に感動しないのは地震学者じゃない、と。(笑)
 とにかくこの発見で、関東大震災というのは1つの本震だけではなく、その後、間をおかずに立て続けに起きたマグニチュード7クラスの2つの余震の、あわせて3つの地震によってもたらされた震災だったということがわかったわけです。

 実は関東大震災の体験談の中に「あわせて3回揺れた」とか「一度ゆれがおさまったと思ったら次にもっと強く揺れたという」証言もあったのです。本震の震源は神奈川県付近で、3分後の最初の余震は震源が東京湾北部でしたから、東京にいた人からすると、二度目の揺れのほうが大きかったというのも、震源の近さから考えると、なるほどという感じです。こういう体験談も、科学的には結構重要なんですと、武村さんはおっしゃってました。

 武村さんは、同じように振り切れていない記録がないか、全国を探しました。
 その結果、山形、新潟県の高田、徳島、長崎の測候所と、仙台にある東北帝国大学に、振り切れてない地震計の記録が見つかったそうです。
 それを合わせて分析すると、本震と、その後6回のマグニチュード7を超える余震の震源が特定されました。
 また、そうして得られた地震波形から、改めて本震のマグニチュードを推定すると、8.1±0.2となりました。
 昔から関東地震はマグニチュード7.9と言われ、気象庁の記録もそうなっていますが、ほんとうはすこし大きかったようです。ただし武村さんは、7.9は、この推定値8.1からすると±0.2の誤差の範囲だから、気象庁の記録を訂正しなくていいとおっしゃっていました。

 武村さんの次の10年の大仕事は、関東大震災の各地の震度をはっきりさせることでした。これも正確にはわかっていなかったそうです。
 震度は建物の全潰の割合等から推定するのですが、関東地震の被害統計はいろいろ食い違いがあって信用できないと言われていたんだそうです。
 しかし武村さんは、またその常識を疑って、昔の人が、そんないいかげんな数字を残すはずはない、と、記録を丁寧に読み込み、その数字の食い違いの理由にまで踏み込んで、ついには各市町村の正確な震度を特定することに成功しました。
 統計の食い違いは、例えば田舎では1軒の家は1世帯ですが、都会には集合住宅も多いので、それを倒壊家屋1棟と数えるか、何世帯と数えるかなどの食い違いがあったのだそうで、そうやって一つ一つ丁寧に分析していくと、正しい数字に行き着いたということです。こうやって武村さん達が作った震度分布はいまもたくさんの研究者によって引用されています。

 さて30年間の関東大震災の研究で、最近10年あまり武村さんが取り組んでいるのは、震災の記録を自分で調査してまとめ上げるという作業だということです。
 今でも各地には震災の記念碑や復興碑、エピソードなどが残っていますが、それを実地に確認する調査を行っているそうです。2012年からは神奈川県内の30の市と町で455箇所の調査を、そしてその後、東京都内の333箇所の調査を終えたそうです。
 たくさんの文献を調べて、場所などを特定、そしてそこに実際に行って確認をするのだそうです。
 驚いたのは、車を運転しない武村さんは、それらの調査地点をほとんどすべて公共交通機関でまわっているということです。「すごいですね、そんなことができるんですか」とお聞きしましたら、「いやそれが回れるんですよ」とおっしゃいます。
 まず始発のバスで、泊まっている宿から一番遠い調査地点まで行き、そこからバスで戻りながら調査していくのがコツだそうです。そしてバスに乗ると、バス停の名前が読み上げられます。それで難しい地名の読み方もわかるし、それを知っていると、地元の人たちから話を聞くときも会話がうまくいくということです。


 
 こうした地道な研究で確認された記録ですが、これを報告書や本にして残す意味について、武村さんは「自分は先人が残してくれた膨大な記録をもとに研究ができた。だからいま、将来の研究者のために、事実を調べて記録に残していくのが研究者として自分の大事な仕事」とおっしゃってました。
 今回も224名の方にご参加いただきました。武村さん、参加者のみなさん、ありがとうございました。


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第188回防災アカデミーを開催しました

内容:台風のもたらす災害・将来予測・航空機観測
講師:坪木 和久 さん
(名古屋大学宇宙地球環境研究所附属統合データサイエンスセンター教授、減災連携研究センター兼任・協力教員)
日時:2023年5月16日(火)18:00〜19:30

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