第156回防災アカデミーを実施しました

講師:塚原 健一さん
  (九州大学大学院工学研究院附属アジア防災研究センター教授)
内容:気象災害へ対応するための長期的投資
 -今日明日やる仕事と次世代に残す仕事を混同するなかれ-
日時:2019年12月6日(金)18:00〜19:30
場所:減災館1階減災ホール

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第103回げんさいカフェを開催しました

過去、いま、未来の南海トラフ地震、理学でどこまで言えるか?

ゲスト:地震学者 山中 佳子 さん
   (名古屋大学大学院環境学研究科 附属地震火山研究センター准教授)

日時:2019年12月4日(水)18:00~19:30
場所:名古屋大学減災館減災ギャラリー
企画・ファシリテータ: 隈本 邦彦
   (江戸川大学教授/名古屋大学減災連携研究センター客員教授)

 げんさいカフェは、「南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト」との共催で実施しています。


 次の南海トラフ巨大地震は、いつ、どれくらいの規模でやってくるのか? 
 残念ながら、いまの科学ではそれを予測することはできません。でも一方で、政府の地震調査委員会は今後30年以内に80%の確率で起きるという予測を出しているわけで、我々はこの情報どう受け止めればいいのか、少し戸惑ってしまいます。今回のカフェでは、そのへんのところを地震学者の山中さんに詳しく伺うことにしました。

 南海トラフの巨大地震の予測が難しい理由の一つは、日本で近代的な地震観測が行われるようになってから、たった1度しか起きていないからです。昭和の東南海地震と南海地震だけですね。
 そこで山中さんたち地震学者は、同じ海溝沿いのプレート境界でも、明治以降、何度か大地震を起こしてきた東北地方の沖合(日本海溝沿い)の地震について、その性質をしっかり分析し、それをモデルにして「次に起きる南海トラフ地震」を考えようとしているのだそうです。

 そういう考え方で、8年前の東日本大震災を起こした地震を分析してみると、巨大な津波と広範囲の強い揺れを起こしていることから、北緯40度より南にあったアスペリティ(プレート境界のうち普段は固着していて地震の時に大きく滑って強い揺れを出す場所)がすべて同時に滑った上、海溝沿いでは明治三陸大津波を起こしたアスペリティもすべったと考えられるということです。
 日本海溝沿いでは、岩手県沖、宮城県沖、福島県沖にあるアスペリティが一般的には周期的にすべっていますが、多数存在するアスペリティがどういう組み合わせで滑るかによって地震の規模も変わってくるという考え方が必要だそうです。

 それならば、南海トラフの地震の場合もまず、アスペリティの位置を確かめることが大切です。
 1944年の昭和の東南海地震の主なアスペリティは、観測された地震波形などから、志摩半島から渥美半島、静岡県西部にかけての陸地と海の直下にあると推定されているということです。このアスペリティは東北地方沖のアスペリティに比べて、大きさが大きく、陸地に近いのが特徴で、いざ地震の時には強い揺れが襲ってきそうです。

 また最近、海底の地殻変動の観測が進歩してきた結果、南海トラフ沿いの静岡県沖から高知県沖にかけて、大小5~6個のアスペリティが存在していることもわかってきたということです。将来起きる南海トラフ巨大地震は、これらのアスペリティのうちのいくつかが連動して起きることになるのでしょうが、それを科学的に正確に予測するのは難しそうです。

 山中さんが強調したのは、次の南海トラフ巨大地震が、いつどのように起きるかはわからないが、いつかは必ず起きるし、その時には過去の地震の被害は参考になるが、当時では起きなかったような新たな被害も起きる、ということです。
 いま私たちの周りには、宝永や安政の頃にはなかった巨大構造物や超高層ビルがたくさん建っており、これらは長周期の地震動で大きな被害が出る可能性があります。またかつてはあまり人が住んでいなかった海抜ゼロメートル地帯にたくさんの家が建っている現状では、地震の揺れによる河川堤防の決壊や津波によって、たくさんの人命が失われる恐れがあります。

 とにかく、いつ地震が起きても生き残れるよう、住宅の耐震化や減災街づくりなどを進め、備えを強化しておかなければならないということを改めて思い知ったカフェでした。
 山中さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。



→ポスター(PDF)

※過去のげんさいカフェの様子はこちら

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来館者が8万人を達成しました

ぶるる画像
   ● 来館者が8万人を達成しました ● (2019/11/27)

2019年11月27日、減災館の来館者が8万人を達成しました。 Read More »
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名大トピックスNo.318

名大トピックスNo.318に減災連携研究センター関連の記事が掲載されました。
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シリーズ・伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(2)「伊勢湾台風をどのように語り継ぎ、伝えるか?」を開催しました

名古屋大学減災連携研究センター「伊勢湾台風から60年」記念事業
シリーズ・伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(2)
「伊勢湾台風をどのように語り継ぎ、伝えるか?」開催報告

 
■日 時 2019年11月20日(水)13:30-16:30
■場 所 名古屋大学 減災館1階 減災ホール
■参加者 約80名

 減災連携研究センターでは、伊勢湾台風襲来から60年を迎えるにあたり、クラウドファンディング「迫りくる!スーパー伊勢湾台風に備えるために」(7月1日~9月26日、寄附総額255.9万円)を通じてみなさまからのご支援をいただき、調査研究を進めながら減災館の展示を拡充するとともに、「伊勢湾台風から60年」記念事業を企画してまいりました。
 この特別シンポジウムは本記念事業の一環として企画され、第1回は「伊勢湾台風~60年前の教訓と新たに生まれた課題~」と題して、2019年11月16日(土)に開催されています。今回はこれに続く第二弾として、「伊勢湾台風をどのように語り継ぎ、伝えるか?」と題して開催されました。当日は、一般市民、行政、企業、研究機関等、80名を超える参加者がありました。
 シンポジウムは、司会である野田利弘・副センター長/研究連携部門教授の開会挨拶に始まり、以下の4つの話題提供がありました。まず、中村晋一郎/協力教員・工学研究科准教授より、「濃尾平野における輪中提から連続提への変化」と題して、明治以降の堤防開発と土地利用の変遷や両者の関係(堤防効果)や防災・減災に対する今後の課題についてご紹介いただきました。次に、鈴木雅様(名古屋市博物館学芸員)より、「『特別展 治水・震災・伊勢湾台風』を振り返って」と題して、名古屋市博物館で開催された特別展の2つの目的(資料取集と災害を時代の中で捉える)が示され、その実施状況としての「台風記」の発刊経緯、トランジスタラジオ寄贈のエピソードや収集した伊勢湾台風の写真紹介、及び伊勢湾台風とその時代背景について解説頂きました。続いて、阪口泰子様(名古屋市南図書館)より、「『伊勢湾台風資料室』の取り組み」と題し、南図書館に開設されている資料室に関して、その設置背景や変遷、所蔵資料の概要、及び60周年事業についてご紹介いただきました。最後に、大場玲子様(名古屋市港防災センター)より、「『伊勢湾台風60年企画展』を実施して」と題して、港防災センターや伊勢湾台風展(毎年)の紹介、60周年企画展(漫画(「あさドラ」)、伊勢湾台風カルタ)の概要、今後の展望と災害の記憶を語り継ぐためのアイデア等について話題提供頂きました。
 これに続くパネルディスカッション(PD)は、荒木裕子・強靱化共創部門准教授のコーディネートにより、上記の話題提供者の皆様に、堀田弥生様(防災専門図書館/防災科研自然災害情報室)、堀田典裕/協力教員・環境学研究科助教、田代喬/副センタ―長・社会連携部門教授が加わり、「伊勢湾台風、本当に伝えるべきことは?」をテーマとして進められました。PDでは、まず、堀田弥生様より「被災地の外からみた伊勢湾台風」と題して、ご自身と伊勢湾台風との関わり、これまでに実施した企画展の紹介、および、災害資料の役割(被災地:記憶から記録への変換・遺物・遺構、外部:記録や記憶の一般化)についての発表に引き続き、堀田典裕助教より「伊勢湾台風の復興都市計画と復興住宅」と題し、ご自身と伊勢湾台風との関わり、鍋田干拓地における復興住宅等に関する紹介、田代喬教授より、減災連携研究センターにおける「伊勢湾台風から60年」の記念事業に関する紹介がありました。次に、各話題提供者のキーワードを整理した上で、「堤防効果」、(時空間を超える)概念の普遍性、個人の「記憶」から社会が共有する「歴史」へ変換することの意味、資料を集める目的・対象物・方法、あるいは効果的活用のための課題(方法、運用費用や担い手等)、研究活動が地域に与える影響など、それぞれのテーマについて会場からのご発言も交え掘り下げた議論を行いました。またこうして一同に会した伊勢湾台風に関して「伝える」ことを担う各機関や個人、地域の方が、伝え続けるために連携することの重要性も確認されました。
 なお、このシンポジウムの様子は、クラウドファンディングに支援いただいた方々(リターンとして速記録をご希望された方々)には冊子として別途報告させていただく予定です。末筆ながら、本シンポジウムにご参画いただいた皆様、クラウドファンディング事業にご支援いただいた皆様に改めて御礼申し上げます。


                   登壇者による報告の様子
 

        登壇者による報告の様子            パネルディスカッションの様子
 

                  パネルディスカッションの様子
 


※こちらのイベントは終了しました。

減災連携研究センターは、下記の通り、「伊勢湾台風から60年」記念事業 シリーズ・
伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(2)「伊勢湾台風をどのように語り継ぎ、伝える
か?」を開催いたします。
ご参加くださいますよう、よろしくお願いいたします。

 

→チラシはこちら(PDF)

名古屋大学減災連携研究センター「伊勢湾台風から60年」記念事業
シリーズ・伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(2)
「伊勢湾台風をどのように語り継ぎ、伝えるか?」

 伊勢湾台風襲来から60 年が経過した現在、伊勢湾沿岸地域など被災地域を中心とする
啓発機関では、さまざまな視点からそれぞれに趣向を凝らした行事や展示を行い、当時の
記憶を留め、伝えるように努められています。
 名古屋大学減災連携研究センターのクラウドファンディング事業「迫りくる!スーパー
伊勢湾台風に備えるために」の一環として実施する特別シンポジウムの第二弾としては、
名古屋市周辺の被災地域の展示・啓発施設の取り組みを紹介いただきながら、さまざまな
側面を有する伊勢湾台風の影響を俯瞰することにより、高潮および洪水による長期・広域
浸水がもたらした被害の実態を振り返り、迫りくるスーパー伊勢湾台風に備えるために伝
えるべきことは何か、市民の皆さまとともに考えたいと思います。

■日 時 2019年11月20日(水)13:30-16:30(13:00開場)
■場 所 名古屋大学 減災館1階 減災ホール
■プログラム

13:30 ~ 13:35  開催趣旨
  野田利弘(名古屋大学減災連携研究センター)

<話題提供> 
13:35~13:55  「濃尾平野における輪中堤から連続堤への変化」
  中村晋一郎(名古屋大学大学院工学研究科土木工学専攻)
13:55 ~ 14:15  「特別展 治水・震災・伊勢湾台風」を振り返って
  鈴木 雅(名古屋市博物館)
14:15 ~ 14:35  「伊勢湾台風資料室」の取り組み
  阪口泰子(名古屋市南図書館)
14:35 ~ 14:55  「伊勢湾台風60年企画展」を実施して
  大場玲子(名古屋市港防災センター)

<パネルディスカッション> 「伊勢湾台風、本当に伝えるべきこととは?」
15:10 ~ 16:30  
 コーディネーター:荒木裕子(名古屋大学減災連携研究センター)

 パネリスト:   鈴木 雅(名古屋市博物館)
          大場玲子(名古屋市港防災センター)
          阪口泰子(名古屋市南図書館)
          中村晋一郎 (名古屋大学大学院工学研究科土木工学専攻)
          堀田弥生(防災専門図書館/防災科研自然災害情報室)
          堀田典裕(名古屋大学大学院環境学研究科建築学系)
          田代 喬(名古屋大学減災連携研究センター)

 
※ 事前申込不要、入場無料
※ 講演の撮影・録音はご遠慮ください。
※ 駐車場はありません。必ず公共交通機関をご利用ください。

主催:名古屋大学減災連携研究センター
後援:自然災害研究協議会中部地区部会

問い合わせ先:名古屋大学減災連携研究センター tel 052-789-3468
 

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シリーズ・伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム「伊勢湾台風~60年前の教訓と新たに生まれた課題~」を開催しました

名古屋大学減災連携研究センター「伊勢湾台風から60年」記念事業
シリーズ・伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(1)
「伊勢湾台風~60年前の教訓と新たに生まれた課題~」開催報告

■日 時 2019年11月16日(土)13:30-17:00
■場 所 名古屋大学 減災館1階 減災ホール
■参加者 約120名

 減災連携研究センターでは、伊勢湾台風襲来から60年を迎えるにあたり、クラウドファンディング「迫りくる!スーパー伊勢湾台風に備えるために」(7月1日~9月26日、寄附総額255.9万円)を通じてみなさまからのご支援をいただき、調査研究を進めながら減災館の展示を拡充するとともに、「伊勢湾台風から60年」記念事業を企画してまいりました。
 この特別シンポジウム「伊勢湾台風~60年前の教訓と新たに生まれた課題~」は本記念事業の一環として、当時の被災を契機として1961年に設立した名古屋大学土木系教室とともに、土木系教室同窓会「鏡ヶ池会」にも協力いただいて企画いたしました。午前中に開催された「令和元年台風15号19号 緊急報告会」に引き続いての実施ながら、一般市民、行政、企業、研究機関、報道関係等、100名を超える参加者がありました。当日は、減災ギャラリーにて一般社団法人中部地域づくり協会制作の「水害体験VR」について出張展示いただいたことも申し添えます。
 シンポジウムは、野田利弘副センター長/教授(鏡ヶ池会25期生)の進行により、土木系教室の設立経緯や現在の教育研究活動状況を紹介した、加藤準治・大学院工学研究科土木工学専攻教授/主任からの挨拶を皮切りに、3つのテーマに沿った話題提供により構成されました。
 最初のテーマ①「60年前の教訓」では、国土交通省中部地方整備局編集・提供の伊勢湾台風に関する映像を視聴した後、杉野尚夫様(鏡ヶ池会1期生)より、「伊勢湾台風発災当時・直後の様子と教訓」と題する講話をいただきました。テーマ②「中部の成長~60年間の変化~」では、大東憲二・大同大学情報学部総合情報学科教授(鏡ヶ池会16期生)から「地下水の過剰揚水による海抜ゼロメートル地域の拡大」と題して、濃尾平野における地盤沈下過程と現状を、富田孝史・大学院環境学研究科教授(鏡ヶ池会23期生)から「水防災の取り組み」と題して、高潮襲来に備えた防波堤などのインフラ整備の現状を報告いただきました。その後、テーマ③「新たに生まれた課題」では、加藤博和・大学院環境学研究科附属持続的共発展教育研究センター教授(鏡ヶ池会28期生)から「人口・土地利用の変化、交通の大動脈としての中部への機能集中」と題し、名古屋都市圏の成長により生じた新たなリスクについて、戸田祐嗣・大学院工学研究科教授から、「気候変動による台風の強力化」と題し、温暖化を踏まえた将来に向けての対応といった課題に関する話題提供がありました。
 パネルディスカッションでは、水谷法美・大学院工学研究科教授(鏡ヶ池会19期生)のコーディネートにより、伊勢湾台風をどう捉えるのか、また、当時の教訓がどう活かされてきたか、さらには、将来、スーパー台風の襲来に向けて何を考えておくべきなのか、といった問い掛けがなされ、パネリストとなった5名の登壇者が意見を寄せ合う形で進行されました。スーパー台風の襲来に際しては、堤防などのハード整備と広域・事前避難などのソフト対応の取り組みをより一層進めることとともに、高潮による浸水に備えて土地利用を制御し、災害に強いまちをつくっていくこと、などの広範な課題について、会場からの質疑を交えながら活発な情報・意見交換が行われました。最後に、田代喬副センター長/特任教授(鏡ヶ池会35期生)からの挨拶で閉会されました。
 本シンポジウムの開催に際しては、名古屋大学土木系教室を始めとする複数の関係主体の連携・協力により、多数の参画者により実現し得ました。なお、このシンポジウムの様子は、クラウドファンディングに支援いただいた方々(リターンとして速記録をご希望された方々)には冊子として別途報告させていただく予定です。
 末筆ながら、本シンポジウムにご参画いただいた皆様、クラウドファンディング事業にご支援いただいた皆様に改めて御礼申し上げます。


     登壇者による報告の様子            会場からの質問の様子
 

                 パネルディスカッションの様子
 

 国土交通省中部地方整備局編集提供の映像視聴  中部地域づくり協会制作水害体験VRの出張展示

 


※こちらのイベントは終了しました。

減災連携研究センターは、下記の通り、「伊勢湾台風から60年」記念事業 シリーズ・
伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム「伊勢湾台風~60年前の教訓と新たに生まれ
た課題~」を開催いたします。
ご参加くださいますよう、よろしくお願いいたします。

(なお、当日9時半より、「令和元年台風15号19号 緊急報告会」が開催されます。
合わせてご参加くださいますようお願いいたします。)

 

→チラシはこちら(PDF)

名古屋大学減災連携研究センター「伊勢湾台風から60年」記念事業
シリーズ・伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム
「伊勢湾台風~60年前の教訓と新たに生まれた課題~」

 1959年9月、当地に深い爪痕を残した伊勢湾台風の襲来から60年の節目に当たる今年、
9月に第15号10月に第19号が襲来するなど、東日本を中心に大きな被害が生じています。
近年、大きな被害を受けていない当地にとって、伊勢湾台風の教訓を振り返ることは重
要であるため、その後の当地の復興・成長を踏まえた新たな課題を含め、市民の皆さま
とともに考えたいと思います。
 この特別シンポジウムは、名古屋大学減災連携研究センターのクラウドファンディン
グ事業「迫りくる!スーパー伊勢湾台風に備えるために」の一環として、名古屋大学土
木系教室と共催するものです。本事業に際し、心のこもったご支援を賜りました皆さま
には、厚く御礼申し上げます。

名古屋大学では、伊勢湾台風による被災を受け、1961年4月、工学部に土木工学科が設
立されました(翌年には建築学科も設立)。
名古屋大学土木系教室は現在、工学部環境土木・建築学科と大学院工学研究科土木工学
専攻、大学院環境学研究科都市環境学専攻における教育・研究を担いながら、未来材料
・システム研究所、未来社会創造機構とともに、2010年12月に発足し、2012年6月に設
立した当センターにおける活動にも参画しています。

■日 時 2019年11月16日(土)13:30-17:00(13:00開場)
■場 所 名古屋大学 減災館1階 減災ホール
■プログラム

13:30 ~ 13:35  開催趣旨
 加藤準治 名古屋大学大学院工学研究科土木工学専攻主任

<話題提供1> 「60年前の教訓」
13:35~13:50  映像で振り返る「 伊勢湾台風 」
 (動画提供:国土交通省 中部地方整備局)
13:50 ~ 14:10  伊勢湾台風発災当時・直後の様子と教訓
  杉野尚夫(鏡ヶ池会1期生)

<話題提供2> 「中部の成長~60年間の変化~」
14:10 ~ 14:30  地下水の過剰揚水による海抜ゼロメートル地域の拡大
  大東憲二(鏡ヶ池会16期生)大同大学情報学部総合情報学科
14:30 ~ 14:50  水防災の取り組み
  富田孝史(鏡ヶ池会23期生)名古屋大学大学院環境学研究科都市環境学専攻

<話題提供3> 「新たに生まれた課題」
15:00 ~ 15:20  人口・土地利用の変化、交通の大動脈としての中部への機能集中
  加藤博和(鏡ヶ池会28期生)
       名古屋大学大学院環境学研究科附属 持続的共発展教育研究センター
15:20 ~ 15:40  気候変動による台風の強力化
  戸田祐嗣 名古屋大学大学院工学研究科土木工学専攻
15:50 ~ 16:50  パネルディスカッション
  コーディネーター:水谷法美(鏡ヶ池会19期生)名古屋大学大学院工学研究科
  パネラー: 杉野尚夫 大東憲二 富田孝史 加藤博和 戸田祐嗣
16:50 ~ 17:00  閉会の挨拶
  田代 喬(鏡ヶ池会35期生)名古屋大学減災連携研究センター副センター長

当日は、中部地域づくり協会の協力により、「VR* による浸水体感」の実施と
「自然に学び、自然に備える(近年の豪雨災害記録集・2018)」の配布を予定
しています。  *VR:Virtual Reality(仮想現実)

 
※ 事前申込不要、入場無料
※ 講演の撮影・録音はご遠慮ください。
※ 駐車場はありません。必ず公共交通機関をご利用ください。

共催:名古屋大学土木系教室
   名古屋大学減災連携研究センター
後援:自然災害研究協議会中部地区部会
   名古屋大学土木系教室同窓会「鏡ヶ池会」

問い合わせ先:名古屋大学減災連携研究センター tel 052-789-3468
 

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「令和元年台風15号19号 緊急報告会」を開催しました

令和元年台風15号19号 緊急報告会 開催報告

 
■日 時 2019年11月16日(土)9:30-12:00
■場 所 名古屋大学 減災館1階 減災ホール
■参加者 約120名

 減災連携研究センターでは台風15号襲来から2カ月、台風19号襲来から1カ月経過したこの時点で明らかになってきたことについて緊急報告会を開催し、一般市民、行政、企業、研究機関、報道関係等、100名を超える参加者がありました。
 報告会では、福和伸夫/センター長・強靭化共創部門教授の挨拶の後、以下の7題の報告がありました。
 戸田祐嗣/協力教員・工学研究科教授から、過去の台風被害(寛保2年洪水、狩野川台風等)と現在の河川防災レベルについて、田代喬/副センター長・社会連携部門教授から、台風19号河川洪水氾濫、及び被害の予見可能性について、野田利弘/副センター長・研究連携部門教授から、台風19号堤防被害やそのメカニズムや課題について、利藤房男/社会連携部門教授より、箱根町と相模原市を中心とした台風19号土砂災害と1923年関東地震との関連等について、平山修久/社会連携部門准教授より、台風19号災害廃棄物の推定量と処理対応の現状、及び課題について、荒木裕子/強靭化共創部門准教授より、台風19号における長野市や佐久市における避難者・被災者の現状や支援の現状・課題について、都築充雄/社会連携部門准教授より、電力被害を中心にした台風15号による状況と復旧の課題等について、中村晋一郎/協力教員・工学研究科准教授より、都市計画における土地利用と浸水域との関係や、人的被害減少と事前対応効果等について、それぞれ報告がありました。
 その後、福和伸夫センター長をコーディネーターとして、減災社会を目指すために(地域社会のあるべき方向性について)を趣旨とした総合討論が行われました。まず、各登壇者のメッセージの整理がなされた後、会場からの質疑応答がありました。これに続いて、南海トラフ地震や首都直下地震、スーパー伊勢湾台風など、今後想定されている自然災害に対する減災社会を目指すために、過去の災害と現状を把握した上でのハザード、リスク評価や予見性・情報発信等をはじめとして、登壇者の各報告内容に関連したテーマでの意見交換が行われました。
 最後に、田代喬副センター長からの挨拶で閉会されました。


        ホール展示の様子               登壇者による報告の様子           

        総合討論の様子


※こちらのイベントは終了しました。

減災連携研究センターは、下記の通り、「令和元年台風15号19号 緊急報告会」を
開催いたします。
ご参加くださいますよう、よろしくお願いいたします。

(なお、当日13時半より、当センターの「伊勢湾台風から60年記念事業」によるシン
ポジウム第一弾「伊勢湾台風~ 60年前の教訓と新たに生まれた課題」が開催されま
す。引き続きご参加くださいますようお願いいたします。)

 

→チラシはこちら(PDF)

令和元年台風15号19号 緊急報告会

令和の新しい時代が幕開けしましたが、台風15号、19号の強大な台風が相次いで
発生し、東日本を中心に甚大な被害をもたらしました。減災連携研究センターでは
台風15号襲来から2カ月、台風19号襲来から1カ月経過したこの時点で明らかに
なってきたことについて、緊急報告会を開催することとしました。

■日 時 2019年11月16日(土)9:30-12:00(9:00開場)
■場 所 名古屋大学 減災館1階 減災ホール
■プログラム

<開会の挨拶>
9:30~9:40     センター長 福和伸夫
<報告内容>
9:40~11:25
1. 過去の台風被害(寛保2年洪水、狩野川台風等)について
                    戸田祐嗣 協力教員(大学院工学研究科教授)
2.台風19号河川洪水氾濫について    田代 喬 副センター長/社会連携部門教授
3.台風19号堤防被害について      野田利弘 副センター長/研究連携部門教授
4.台風19号土砂災害について      利藤房男 社会連携部門教授
5.台風19号災害廃棄物について     平山修久 社会連携部門准教授
6.台風19号における被災者支援について 荒木裕子 強靭化共創部門准教授
7.台風15号の被害について(電力被害を中心に) 都築充雄 社会連携部門准教授 

<総合討論・まとめ>
11:25~11:55
減災社会を目指すために(地域社会のあるべき方向性について)
                    福和伸夫 センター長/強靭化共創部門教授

<閉会の挨拶>
11:55~12:00   副センター長 田代 喬

 
※ プログラムの内容に一部変更の可能性があります。

※ 事前申込不要、入場無料
※ 講演の撮影・録音はご遠慮ください。
※ 駐車場はありません。必ず公共交通機関をご利用ください。

主催:名古屋大学減災連携研究センター
共催:名古屋大学土木系教室

問い合わせ先:名古屋大学減災連携研究センター tel 052-789-3468
 

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第155回防災アカデミーを実施しました

講師:遠藤 勝裕さん
  (元日本銀行 神戸支店長)
内容:大災害時における企業の危機管理―阪神大震災から学んだこと―
日時:2019年11月12日(火)18:00〜19:30
場所:減災館1階減災ホール
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第102回げんさいカフェを開催しました

巨大地震からの早期復旧をどうするか?

ゲスト:地震学者 新井 伸夫 さん
   (名古屋大学減災連携研究センター特任教授)

日時:2019年11月5日(火)18:00~19:30
場所:名古屋大学減災館減災ギャラリー
企画・ファシリテータ: 隈本 邦彦
   (江戸川大学教授/名古屋大学減災連携研究センター客員教授)

 げんさいカフェは、「南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト」との共催で実施しています。

 南海トラフ地震など、巨大災害の発生に備えて、国はさまざまな防災研究を進めていますが、その中の一つSIP2期「国家レジリエンス(防災・減災)の強化」という5年計画の研究に、名古屋大学減災連携研究センターの研究者も参加しています。今回のカフェでは、そのまとめ役の研究者である新井伸夫さんに、研究の目的やポイントを聞いてみました。

 レジリエンスというのは「回復力」「復元力」といった意味の言葉で、災害が起きても簡単に壊れずしっかり回復できる社会を作っておこうという考え方です。その意味で、最悪220兆円ともいわれる次の南海トラフ地震での経済被害を、どうずれば最小限にできるか、そのためには何をしておくべきか研究するのが、このプロジェクト研究のねらいだそうです。

 災害後の復旧にはまず、何が必要でしょうか。
 なんといっても道路インフラ、電気・水道・ガスなどのライフラインの復旧ですね。それは被災地住民の生き残りのためだけではなく、被災地の企業がいち早く経済活動を再開することによって、地震による経済被害を最小化することにも役立つはずです。
 最近では、各企業がそれぞれBCP=事業継続計画を策定して、地震が起きても企業活動が続けていけるよう準備し始めていますが、そうした計画は、周囲の道路やライフラインがいつも通り使えることが前提になっている場合がほとんどです。つまり企業活動の復旧の速さは、道路やライフラインの復旧にかかっているといっても過言ではありません。

 問題は、道路の復旧をどこから始めるかです。
 道路の管理者は、国、県、市町村と分かれていて、ふだんはあまり連携をとっていません。災害後にそれぞれがやみくもに復旧工事を始めてしまうと、非効率になったり、いちばん大事な道路の復旧が後回しにされたりしかねないわけです。
 そこで新井さんたちのプロジェクト研究では、どの道路から復旧させていくと最も効率的で、経済被害を最小化できるか、その順番をつける研究を始めています。
 研究フィールドはモノづくりの重要拠点である愛知県。
 愛知県内の企業が、ふだんどこから部品・原料などを調達して、どこに製品を送っているかという詳しい調査を行い、そのデータをもとに、企業活動を支えているルートとしてどの道路が一番重要であるかという順番を決めるのだそうです。物流の担当者からも話を聞いて、データの妥当性をチェックします。
 一方で、いざ発災ということになったら絶対必要になる道路というのもありそうです。
 たとえば電力の早期復旧のためには、電力会社の車両が通る道が大切です。ふだんはあまり交通量が多くなくても。その道路が災害時に通れないとライフラインの復旧が遅れるわけです。そこで、電力会社の各営業所から変電設備まで行く道路も、早期復旧が必要な道路の中に加えました。
 そんなふうに考えると、浄水場への道など、ライフライン復旧のために早期開通が必要な道は他にもありそうですね。

 もう一つ大切なテーマは、実際に道路復旧に必要な資材などをどう確保するかということです。
 災害後には、ブルドーザーなどの重機とそれを操作できる人の取り合いになることが予想されます。南海トラフ地震のような広域災害では、多くの自治体が同時に被災するため、お隣や周りからの支援はあまり期待できません。そこで、それぞれの地域では、自前で、重機や人員を確保しておくことが重要ですが、それがどこまで可能か、現在調査が続いているということでした。

 研究では、このような詳細な調査をあらかじめしておくだけではなく、被災後に被災状況のデータを入力するだけで、物資拠点へのアクセスのしやすさ、避難場所の利用しやすさ、給水拠点へのアクセスのしやすさなどを客観的に計算するシステムの開発もめざしています。被災後の経済活動をより早く平常に戻すためには、工場・会社への通勤しやすさなどもデータ化されるといいですね。

 次の災害に備えるということは「被災後の社会」もしっかり見据えていかないといけないということを学ぶことができたカフェでした。
 新井さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。


→ポスター(PDF)

※過去のげんさいカフェの様子はこちら

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第101回げんさいカフェ in ぼうさいこくたい を開催しました

名古屋大学げんさいカフェ in ぼうさいこくたい
新潟県中越地震から15年~知られざる活断層の真実

ゲスト:活断層学者 鈴木 康弘さん
   (名古屋大学減災連携研究センター教授)

日時:2019年10月19日(土)10:30~12:00
場所:ささしまライブエリア・名古屋コンベンションホール4階409会議室_B
  (愛知県名古屋市中村区太閤1丁目19−7
   最寄駅 あおなみ 線「ささしまライブ駅」 2階エントランス直結)
企画・ファシリテータ: 隈本 邦彦
   (江戸川大学教授/名古屋大学減災連携研究センター客員教授)

 げんさいカフェは、「南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト」との共催で実施しています。


 今回は、101回目にして初めて、名古屋大学以外の場所でカフェを開いてみました。全国の防災関係者が一堂に集まる「ぼうさいこくたい」というイベントが、ちょうど名古屋で開かれましたので、そこに参加する形で開かせてもらいました。

 今回のカフェでは、2004年10月23日に起きた新潟県中越地震から、ちょうど15年を迎えるということで、活断層地震の専門家、鈴木康弘さんにこの15年間を振り返っていただきました。

 鈴木さんによると、活断層による地震に対して、一般の人たちの認識と専門家の考え方の間には、ギャップを感じることがあるということです。
例えば、新潟県中越地震は当初、「活断層がないところに地震が起きた」と報じられました。その報道のほんとうの意味は、“すでに存在が知られていて、地震の発生が懸念されていた活断層”による地震ではない、という趣旨でしたが、一般の人たちには「活断層による地震ではない」という印象だけが残りました。
 その後、専門家が詳しい調査をした結果、この地震は小平尾断層という活断層が起こしたことが判明しましたが、その頃になると地震の発生メカニズムに対するメディア側の関心はすっかり低下していて、あまり大きくは報じられませんでした。
 その後も全国各地で2005年の福岡県西方沖地震、2007年の能登半島地震、新潟県中越沖地震、2008年の宮城岩手内陸地震と、立て続けにM6.5以上の地震が起きましたが、いずれも直後には「活断層の地震ではない(と思う)」と報じられ、その後の調査で活断層の存在が判明する、ということの繰り返しだったということです。
 メディアが、ていねいにフォローして報道しないと、地震直後の「活断層の地震ではない(と思う)」という情報だけが独り歩きして、多くの人の印象に残ってしまいがちです。
 一般の人たちと専門家のギャップは、こんなことからも生まれてくるのですね。メディアは、地震直後には活断層との関連ははっきりわからないことが当たり前だと知って取材してほしいものです。

 新潟県中越地震は、もう一つ大きな問題点を浮き彫りにしました。
 国は、阪神淡路大震災以降、全国にどんな活断層があるか、その活断層がどのような規模の地震を繰り返してきたかということを調査し、それを元に「全国地震動予測地図」を作って注意を呼びかけてきました。
 だだ、この予測は「一つの活断層は一定の規模(マグニチュード)の地震を、周期的に繰り返す」という仮定に基づいています。
 ところが話はそれほど簡単ではないようなのです。新潟県中越地震を引き起こした小平尾断層を詳しく調べてみると、15年前の地震では数十センチのずれでしたが、その一つ前の地震では2メートル以上もずれていて、「一つの活断層がいつも同じ規模の地震を起こしているわけではない」という事実を我々に突きつけました。
 また3年前の熊本地震でも、M6.5の前震が起きた2日後にM7.3の本震が起き、一つの活断層帯で起きる地震がいつも同じ規模で起きるとは限らないということを実証しました。
 鈴木さんによると、こうやってわかってきた新しい事実に基づいて、地震予測の方法を変えていかないと、現実に合わないのではないかとおっしゃっていました。

 この日のカフェでは、最近の驚きの事実も明かされました。
 熊本地震で大きな被害を受けた熊本県益城町の災害復興公営住宅が、活断層が地表に現れた場所の、ほぼ真上に建設されようとしているというのです。
 確かに「活断層は同じ規模の地震を一定の周期で繰り返している」という従来の考え方に立てば、一度動いた活断層は次の地震まで数千年間は動かないわけですから、家を建てても問題なさそうですが、鈴木さんは、ほんとうにそれでいいのかと指摘します。
 鈴木さんたちの益城町の熊本地震被害調査では「全壊家屋の94%が断層から120m以内に集中しており、断層からの距離が近ければ近いほど全壊家屋が多かった」という結果が出ており、断層の真上は特に危険です。徳島県が条例で規制しているように活断層の真上には重要施設を建ててはいけないというような規制が全国的に必要ではないかと話していました。

 いつもの減災館とは違って、イベント会場で開催するげんさいカフェということで、ちょっと心配していましたが、会場には満員になるほどたくさんの方が集まってくださいました。鈴木さん、参加者の皆さん、ありがとうございました。


→ポスター(PDF)

※過去のげんさいカフェの様子はこちら

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