シリーズ・伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(2)「伊勢湾台風をどのように語り継ぎ、伝えるか?」を開催しました

名古屋大学減災連携研究センター「伊勢湾台風から60年」記念事業
シリーズ・伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(2)
「伊勢湾台風をどのように語り継ぎ、伝えるか?」開催報告

 
■日 時 2019年11月20日(水)13:30-16:30
■場 所 名古屋大学 減災館1階 減災ホール
■参加者 約80名

 減災連携研究センターでは、伊勢湾台風襲来から60年を迎えるにあたり、クラウドファンディング「迫りくる!スーパー伊勢湾台風に備えるために」(7月1日~9月26日、寄附総額255.9万円)を通じてみなさまからのご支援をいただき、調査研究を進めながら減災館の展示を拡充するとともに、「伊勢湾台風から60年」記念事業を企画してまいりました。
 この特別シンポジウムは本記念事業の一環として企画され、第1回は「伊勢湾台風~60年前の教訓と新たに生まれた課題~」と題して、2019年11月16日(土)に開催されています。今回はこれに続く第二弾として、「伊勢湾台風をどのように語り継ぎ、伝えるか?」と題して開催されました。当日は、一般市民、行政、企業、研究機関等、80名を超える参加者がありました。
 シンポジウムは、司会である野田利弘・副センター長/研究連携部門教授の開会挨拶に始まり、以下の4つの話題提供がありました。まず、中村晋一郎/協力教員・工学研究科准教授より、「濃尾平野における輪中提から連続提への変化」と題して、明治以降の堤防開発と土地利用の変遷や両者の関係(堤防効果)や防災・減災に対する今後の課題についてご紹介いただきました。次に、鈴木雅様(名古屋市博物館学芸員)より、「『特別展 治水・震災・伊勢湾台風』を振り返って」と題して、名古屋市博物館で開催された特別展の2つの目的(資料取集と災害を時代の中で捉える)が示され、その実施状況としての「台風記」の発刊経緯、トランジスタラジオ寄贈のエピソードや収集した伊勢湾台風の写真紹介、及び伊勢湾台風とその時代背景について解説頂きました。続いて、阪口泰子様(名古屋市南図書館)より、「『伊勢湾台風資料室』の取り組み」と題し、南図書館に開設されている資料室に関して、その設置背景や変遷、所蔵資料の概要、及び60周年事業についてご紹介いただきました。最後に、大場玲子様(名古屋市港防災センター)より、「『伊勢湾台風60年企画展』を実施して」と題して、港防災センターや伊勢湾台風展(毎年)の紹介、60周年企画展(漫画(「あさドラ」)、伊勢湾台風カルタ)の概要、今後の展望と災害の記憶を語り継ぐためのアイデア等について話題提供頂きました。
 これに続くパネルディスカッション(PD)は、荒木裕子・強靱化共創部門准教授のコーディネートにより、上記の話題提供者の皆様に、堀田弥生様(防災専門図書館/防災科研自然災害情報室)、堀田典裕/協力教員・環境学研究科助教、田代喬/副センタ―長・社会連携部門教授が加わり、「伊勢湾台風、本当に伝えるべきことは?」をテーマとして進められました。PDでは、まず、堀田弥生様より「被災地の外からみた伊勢湾台風」と題して、ご自身と伊勢湾台風との関わり、これまでに実施した企画展の紹介、および、災害資料の役割(被災地:記憶から記録への変換・遺物・遺構、外部:記録や記憶の一般化)についての発表に引き続き、堀田典裕助教より「伊勢湾台風の復興都市計画と復興住宅」と題し、ご自身と伊勢湾台風との関わり、鍋田干拓地における復興住宅等に関する紹介、田代喬教授より、減災連携研究センターにおける「伊勢湾台風から60年」の記念事業に関する紹介がありました。次に、各話題提供者のキーワードを整理した上で、「堤防効果」、(時空間を超える)概念の普遍性、個人の「記憶」から社会が共有する「歴史」へ変換することの意味、資料を集める目的・対象物・方法、あるいは効果的活用のための課題(方法、運用費用や担い手等)、研究活動が地域に与える影響など、それぞれのテーマについて会場からのご発言も交え掘り下げた議論を行いました。またこうして一同に会した伊勢湾台風に関して「伝える」ことを担う各機関や個人、地域の方が、伝え続けるために連携することの重要性も確認されました。
 なお、このシンポジウムの様子は、クラウドファンディングに支援いただいた方々(リターンとして速記録をご希望された方々)には冊子として別途報告させていただく予定です。末筆ながら、本シンポジウムにご参画いただいた皆様、クラウドファンディング事業にご支援いただいた皆様に改めて御礼申し上げます。


                   登壇者による報告の様子
 

        登壇者による報告の様子            パネルディスカッションの様子
 

                  パネルディスカッションの様子
 


※こちらのイベントは終了しました。

減災連携研究センターは、下記の通り、「伊勢湾台風から60年」記念事業 シリーズ・
伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(2)「伊勢湾台風をどのように語り継ぎ、伝える
か?」を開催いたします。
ご参加くださいますよう、よろしくお願いいたします。

 

→チラシはこちら(PDF)

名古屋大学減災連携研究センター「伊勢湾台風から60年」記念事業
シリーズ・伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(2)
「伊勢湾台風をどのように語り継ぎ、伝えるか?」

 伊勢湾台風襲来から60 年が経過した現在、伊勢湾沿岸地域など被災地域を中心とする
啓発機関では、さまざまな視点からそれぞれに趣向を凝らした行事や展示を行い、当時の
記憶を留め、伝えるように努められています。
 名古屋大学減災連携研究センターのクラウドファンディング事業「迫りくる!スーパー
伊勢湾台風に備えるために」の一環として実施する特別シンポジウムの第二弾としては、
名古屋市周辺の被災地域の展示・啓発施設の取り組みを紹介いただきながら、さまざまな
側面を有する伊勢湾台風の影響を俯瞰することにより、高潮および洪水による長期・広域
浸水がもたらした被害の実態を振り返り、迫りくるスーパー伊勢湾台風に備えるために伝
えるべきことは何か、市民の皆さまとともに考えたいと思います。

■日 時 2019年11月20日(水)13:30-16:30(13:00開場)
■場 所 名古屋大学 減災館1階 減災ホール
■プログラム

13:30 ~ 13:35  開催趣旨
  野田利弘(名古屋大学減災連携研究センター)

<話題提供> 
13:35~13:55  「濃尾平野における輪中堤から連続堤への変化」
  中村晋一郎(名古屋大学大学院工学研究科土木工学専攻)
13:55 ~ 14:15  「特別展 治水・震災・伊勢湾台風」を振り返って
  鈴木 雅(名古屋市博物館)
14:15 ~ 14:35  「伊勢湾台風資料室」の取り組み
  阪口泰子(名古屋市南図書館)
14:35 ~ 14:55  「伊勢湾台風60年企画展」を実施して
  大場玲子(名古屋市港防災センター)

<パネルディスカッション> 「伊勢湾台風、本当に伝えるべきこととは?」
15:10 ~ 16:30  
 コーディネーター:荒木裕子(名古屋大学減災連携研究センター)

 パネリスト:   鈴木 雅(名古屋市博物館)
          大場玲子(名古屋市港防災センター)
          阪口泰子(名古屋市南図書館)
          中村晋一郎 (名古屋大学大学院工学研究科土木工学専攻)
          堀田弥生(防災専門図書館/防災科研自然災害情報室)
          堀田典裕(名古屋大学大学院環境学研究科建築学系)
          田代 喬(名古屋大学減災連携研究センター)

 
※ 事前申込不要、入場無料
※ 講演の撮影・録音はご遠慮ください。
※ 駐車場はありません。必ず公共交通機関をご利用ください。

主催:名古屋大学減災連携研究センター
後援:自然災害研究協議会中部地区部会

問い合わせ先:名古屋大学減災連携研究センター tel 052-789-3468
 

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