第149回げんさいカフェ(ハイブリッド)を開催しました

令和6年能登半島地震をめぐる予測と想定

ゲスト:活断層学者 鈴木 康弘 さん(名古屋大学減災連携研究センター教授)
日時:2024月4月10日(水)18:00~19:30
場所:名古屋大学減災館1階減災ギャラリー・オンライン
企画・ファシリテータ: 隈本 邦彦 さん
(江戸川大学特任教授/名古屋大学減災連携研究センター客員教授)

減災連携研究センターの研究者と市民とが対話する月1回のサイエンス・カフェ。今回も会場とオンラインのハイブリッド開催で、会場参加19名、オンライン参加84名、合計103名の方にご参加いただきました。どうもありがとうございました。

→ポスター(PDF)

→過去のげんさいカフェの様子はこちら

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Geoscience Letters誌に論文が掲載されました

以下の共著論文がGeoscience Letters誌にオンライン出版されました。

Alif, S.M., Ching, KE., Sagiya, T. et al. Determination of Euler pole parameters for Sundaland plate based on updated GNSS observations in Sumatra, Indonesia. Geosci. Lett. 11, 16 (2024).

URL:https://doi.org/10.1186/s40562-024-00330-0 →Thesis

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第145回げんさいカフェ(ハイブリッド)を開催、報告文を掲載しました

近年の火山噴火について

ゲスト:地震学者 山岡 耕春 さん(名古屋大学大学院環境学研究科 附属地震火山研究センター教授/減災連携研究センター兼任・協力教員)
日時:2023月12月26日(火)18:00~19:30
場所:名古屋大学減災館1階減災ギャラリー・オンライン
企画・ファシリテータ: 隈本 邦彦 さん
(江戸川大学特任教授/名古屋大学減災連携研究センター客員教授)

 げんさいカフェは、「防災対策に資する南海トラフ地震調査研究プロジェクト」との共催で実施しています。

  

最近、アイスランドで大きな噴火があって住民が避難をしたというニュースが流れましたが、実はハワイでもこのところ噴火が続いているそうです。
そこで今回のカフェでは、火山噴火に詳しい名古屋大学大学院環境学研究科附属地震火山研究センター教授で減災連携研究センター兼任・協力教員の山岡耕春さんに来ていただき、最近の火山噴火についてお話しいただきました。

カフェでは、まず、アメリカ地質調査所のwebサイトの公開映像などを見ながら、ハワイのマウナケア火山や、キラウエア火山の噴火の状況を詳しく解説していただきました。
ハワイやアイスランドの火山の動向が気になるのは、これらの火山は「玄武岩」という流動性の高いマグマの火山で、日本を代表する活火山の富士山も、同じ玄武岩質のマグマなので同じような経過を辿ると考えられているからです。
そして海外ニュースなどを見ますと、ハワイでもアイスランドでも、特に大きな前兆もなく大噴火が始まったと伝えられています。富士山も、やはり大きな前兆がなく噴火をするのでしょうか、山岡さんにお聞きしてみました。
その答えは「そうなるかもしれない」ということでした。
地震計や傾斜計で常に観測をしているので、おそらく富士山が何の前触れもなく大噴火するということはなく、噴火の数時間前には何かが起きそうだということはわかるだろうということでした。しかし数時間前ということだと、たくさんの登山者がいる時期の富士山では避難もたいへんなことになりそうです。我々としてはやはり、いつ起きてもおかしくない、場合によっては、いきなり噴火が起きるかもしれないという心構えを持っていたほうがいいと思いました。

さて、最近の火山噴火で、日本に影響したものといえば、2022年1月のフンガトンガ=フンガハアパイ火山の噴火です。
この時の噴火は、極めて大規模で、上空1万7000メートルまで噴煙があがったそうですが、この噴火による激しい空振=空気の振動が原因で、日本で最大1.2メートルの津波が観測されました。2つの県に津波警報が出て、幸い死者などはありませんでしたが、漁船の沈没や鉄道の運転見合わせ、飛行機の欠航なども起きました。
当時は、気圧の変化によって、警報級の津波が起きることに驚かされました。
この時、日本付近では2ヘクトパスカルの気圧変化が通過したそうですが、実はこの気圧の変化が空中を進む速度が、津波が海の中を伝わっていく伝播速度と近い値だと、共振(共鳴)によって徐々に津波が大きくなる現象が起きるのだそうです。報告した学者の名前をつけてプラウドマン共鳴と呼ばれています。
この現象、実は100年近く前に知られていたのだそうです。
プラウドマン共鳴を見つけたジョセフ・プラウドマン先生は、英国ケンブリッジ大学の数学と海洋学の教授で、いまから約140年前の1883年に起きたインドネシア・クラカタウ火山の巨大噴火の際に、気圧の変化が原因とみられる津波が発生して、それがなんとヨーロッパでも観測されたそうなんですが、その観測をもとに、火山噴火による気圧変化で津波が発生する計算式を1929年に論文で発表していました。
そのプラウドマン共鳴が約1世紀ぶりに地球レベルで観測されたのが、2年前のフンガトンガ=フンガハアパイ火山の噴火だったということになります。
コンピューターを使ってシミュレーションすると、気圧の変化が空気中を進む速度が、津波の伝播速度と同じだと、確かにだんだん波が大きく成長して行き、その速度の差が大きくなるとその成長がとまるということがはっきり確認できるそうです。
気圧変化が空気中を進む速度はだいたい1秒間に300メートルくらいでほぼ一定、そして津波の伝播速度は海の深さによって速くなったり遅くなったりします。
これが今後の津波予測に役立つかもしれないと、山岡さんはおっしゃいます。
つまり、遠くのどこかの火山で大きな噴火が起きた時に、その火山から日本列島までの間の海の深さはあらかじめわかっていますから、日本にくる津波が大きく成長するかしないかは、プラウドマンさんの式で計算可能だということです。いまは、大きな火山噴火が太平洋のどこかでおきると必ず一応気象庁が津波を警戒するという体制になっていますが、将来は大きめの津波が心配されるのか、そうでもないのか、ということを計算して警報がだせるようになるのではないかと山岡さんがおっしゃっています。

今回のカフェでは、2023年10月9日の朝、大きな地震が起きていないのに、いきなり伊豆諸島や太平洋岸に津波注意報が出たということも話題になりました。
実際に伊豆諸島の八丈島では最大60センチの津波が観測されましたし、高知県の土佐清水、千葉県館山市でも津波が観測されました。
最近、防災科学技術研究所の研究者が、この津波は、鳥島近海で中規模の地震が連続で起きたことが原因であると突き止めたそうです。2時間ほどの間に連続で起きた14回の地震の津波が沿岸に伝わってくるうちに、重なり合って結果的に2倍くらいの高さに成長したのだそうです。こうした短時間の連続地震による津波の増幅という現象が確認されたのは初めてだそうです。
この連続地震はおそらく火山現象だったと考えられているそうです。鳥島近海で、地下から海底近くまで上がってきたマグマが、噴出したか、それによって海底地滑りが起きたり、海底が陥没したことによるものではないかということです
火山現象もまだまだ未解明のところがたくさんあると知らされたカフェでした。
今回も会場とオンラインで203人の方にご参加いただきました。山岡さん、参加者のみなさんありがとうございました。

→ポスター(PDF)

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第35回特別企画展「企画展・速報展示にみる減災館10年の歩み」(期間:4/10(水)~6/28(金))を開催しました

減災館開館10周年記念
第35回特別企画展 「企画展・速報展にみる減災館10年の歩み」
(期間:4/10(水)~6/28(金))開催しました

たくさんの方にご来場をいただき、まことにありがとうございました。

はじめに

  減災館は2024年度で開館10周年を迎えました。来館者は昨年10月21日にのべ9万人に達し、愛知、名古屋を中心に全国的にも防災を幅広く学べる施設として有名になっています。
 その一つが、毎日行われている教員によるギャラリートークです。専門の話が直接研究者から聞けるとあって、教員によっては、毎回担当日に予約を入れてこられる方がいるほどの人気で、単に防災手法を学ぶというのではなく、理学、工学、歴史学など幅広い専門分野の勉強ができるという大学ならではの活動です。全国的にも珍しい活動といえます。
 また、これらの教員が中心となって、毎年行われてきたのがここでとりあげる企画展です。最新の研究成果や災害の歴史などをわかりやすく伝える活動として好評を博してきました。また、我が国では、毎年どこかで大きな自然災害が発生しており、海外のものも含め、その都度「速報展」として、迅速に情報を伝えるようにも心がけてきました。
 開館10周年を記念して、これら企画展・速報展の歩みを紹介します。展示は開館当初から職員により構成される展示グループ(当初は展示委員会)によって運営されてきました。第一回目の企画展示は、「伊勢湾台風~日本の防災の幕開け」と題して開館半年後の9月2日から行われました。初代の展示委員長であった阪本真由美先生(現、兵庫県立大学教授)によって企画されたものでした。
当初の3年間は企画展を定着させるために年に平均7回というハイスピードで次々に企画展が行われ、その後は年平均2回程度のペースで、前回の「関東大震災」展で合計34回を数えます。
 取り上げられた過去の災害をみると、1891(明治24)年の濃尾地震が5回、1944(昭和19)年の東南海地震(南海トラフ地震)が4回、2011(平成23)年東日本大震災と1923(大正12)年関東大震災がそれぞれ3回ずつとなっています。関東大震災は2023年に地震発生100年を迎え、それを記念して第1部から第3部に分けて展示が行われ、それらを別々に数えると計5回となります。この他にも、1945(昭和20)年三河地震、1995(平成7)年阪神・淡路大震災、2016(平成28)年熊本地震、さらには先にあげた1959(昭和34)年伊勢湾台風や2000(平成12)年東海豪雨などの気象災害も取り上げられてきました。
 本企画展では、企画展毎に作成されたポスターを中心に展示しております。10年間を振り返りながらゆっくりとご覧ください。

                 【監修】名古屋大学減災連携研究センター
展示グループリーダー 武村雅之

チラシのダウンロードはこちらから

【展示風景】

※どなたでも、ご見学・ご参加いただけます。
※5名以上の団体は見学予約をお願いします。見学予約はこちらから。
※予約は3ヶ月前から受付けます。
※諸事情により、日程、内容等が 変更になる場合がございます。ご了承ください。
※追加情報は、その都度HPに掲載しますので、ご確認ください。

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第196回防災アカデミー(ハイブリッド)を開催しました

内容:地図が伝える自然の営み
講師:宇根 寛 さん(元国土地理院)
日時:2024年2月13日(火)18:00〜19:30
場所:名古屋大学減災館1階減災ホール・オンライン

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【お知らせ】BiCURI(振動台)は現在点検中のためご覧いただけません

【お知らせ】
展示物「BiCURI(地震時の揺れを体感いただく振動台)」は、現在点検中のため実演をご覧いただくことができません。ご了承ください。(2024.2.2)

 

 

 

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第195回防災アカデミー(ハイブリッド)を開催しました

内容:伊勢湾台風と新潟地震―災害報道はどう変わったか―
講師:入江 さやか さん(松本大学地域防災科学研究所教授)
日時:2024年1月22日(月)18:00〜19:30
場所:名古屋大学減災館1階減災ホール・オンライン

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「令和6年能登半島地震」の速報展示を行っています

【速報展示のお知らせ】

「令和6年能登半島地震」の速報展示を行っています。パネルは随時追加予定です。
ぜひお越しください。




石川県の地元紙(北國新聞)や関連記事の掲載雑誌も取り寄せています。

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令和6年能登半島地震に関する減災館の活動

先般の能登半島地震による災害で亡くなられた方々に謹んでお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆様にお見舞い申し上げます。一日も早い復旧・復興を願っております。
本センターでは、今回の地震災害に関して諸機関と連携して当たり、その状況や成果を減災館で1月10日より順次公開する予定です。

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四日市市と、連携協力に関する協定書を締結しました

令和5年12月27日(水)、名古屋大学減災連携研究センターは、四日市市と、四日市市防災教育センターのリニューアルに際して連携協力を促進するための協定書を締結しました。

この協定では、防災啓発や教育に関する情報、資料、教材、知見等の提供を行うほか、防災講演会等の催しにおける広報、運営面での協力、および災害発生時における情報共有や被害調査等における協力を行うものです。



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