講師:藤田 香織さん(東京大学大学院工学系研究科准教授)
内容:歴史的木造建築の耐震診断と補強
日時:2017年6月20日(火) 18:00〜19:30
場所:減災館1階減災ホール
減災連携研究センターは6月20日(水)、減災館1階減災ホールにおいて、第131回防災アカデミーを開催しました。今回は、東京大学大学院工学系研究科准教授の藤田香織氏に「歴史的木造建築の耐震診断と補強」と題した講演をお願いし、107名の参加がありました。藤田氏は代表的な伝統木造の研究者の御一人です。近年、古民家再生やリノベーションなどをはじめとして既存建築物の利活用が大変活発化しています。その際に必ず問題となるのが構造的な安全性、特に耐震性です。実物の古い木造家屋に対する加力実験や部材実験、さらには計算を通して見える日本の伝統木造に共通する弱点の説明がまずありました。一方向に開口部が多いこと、垂れ壁の柱への影響、接合部における柱断面の欠損などです。次にそれを補う上での耐震補強の実例も分り易く説明いただきました。耐震補強の条件として、構造的合理性、施工が容易なこと、計画的に無理がないこと、醜くならないこと、経済的であることなどをあげ、まだまだ課題が多いと指摘されました。講演後、会場からは名古屋城の耐震性など素朴な疑問から、実際に郷里の古民家の耐震補強に取り組んでいる方からの専門的な質問まで多様な反響がありました。日本の伝統木造の構造耐震性の研究は、20年あまり前の阪神淡路大震災後から本格的に始まった分野であり、まだまだ発展途上であるということでした。