研究領域

長江拓也の研究紹介

(1)超高層建物に関する耐震性評価と補強方法

超高層建物は全国で2500棟以上を数え、南海トラフ巨大地震において大きな影響を受ける太平洋ベルト地帯に約8割が存在している。超高層設計は1960年代より開始され、各時代の先端技術が適用されている。しかし、設計で想定された揺れのレベルを超す領域に入ると、骨組は梁が根本からちぎれ始めるなど、複雑な振る舞いを示しながら傾きの振幅を増してゆく。建築構造に関する技術的進歩や地震学における新たな知見を踏まえて、超高層建物群を再評価するとともに、必要と判断されるものに対して適切な耐震補強を施す必要がある。過去の実験資料も活用しつつ、構造実験、数値解析に基づき、そのような問題に取り組む。

(2)直下型地震による崩壊余裕度評価

都市直下地震では、設計想定をはるかに超える威力の地震動が建物群を襲う。現行設計に従う建物も、強度の低下を経て大変形を被り、場合によっては崩壊する可能性も否定できない。建物の耐震性を適切に評価するために、実骨組実験から得られる強度低下性状を数値解析に取り込み、建物の複雑な振る舞いを表現する手法の高度化に取り組む。地震動の不確定性を踏まえて膨大な数の解析結果を統計処理することで崩壊余裕度を評価できる。さらに、地震ハザード曲線と組み合わせる手法を用いることで、崩壊に関する確率論的評価を実現する。設計時に選択する構造形式の客観的判断への利用や、従来の設計体系では評価が難しかった新構法への適用など、広い視野を持って取り組む。

(3)基礎における新構法の提案

基礎を固定するのではなく、地震動があるレベル以上になった場合に限って、基礎において滑りが発生し、固定のままでは激しい損傷を被るはずの建物が守られる・・・

原理は分かりやすいが、現行設計では基礎の固定が義務づけられている。滑りに伴う強非線形問題を扱う必要があり、地震時の動的応答評価に関する実用性の高い方法が確立していないこと、信頼性のある材料の組み合わせや施工方法に関する技術資料が不足していることなど、克服すべき課題は多い中、大きなコストをかけることなく建物の耐震性を高める次世代型、普及型の新技術となることを期待し、要素実験による資料の蓄積、および骨組・基礎損傷を網羅した性能評価手法の構築に取り組む。

http://www.sharaku.nuac.nagoya-u.ac.jp/data/nagae/index.htm
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