研究領域

藤田耕史の研究紹介

(1)ヒマラヤの氷河湖決壊洪水に関する研究

 ブータン、ネパール、インドといったヒマラヤ山脈の麓の国々では、氷河の縮退にともなって拡大した氷河湖の決壊洪水が1960年代から頻発しており、深刻な環境問題となっている。本研究では、ブータン、ネパールを中心に複数の氷河湖にて、モレーンダムの構造や湖盆図に関する現地観測をおこなうと共に、アメリカの軍事偵察衛星を含む複数年の衛星データの解析から、氷河湖決壊の危険度に関する新たな指標を提案し、ヒマラヤ全域における2276の氷河湖について、氷河湖決壊に伴う潜在的洪水量の算出等を実施した。

ヒマラヤ全域における氷河湖決壊に伴う潜在的洪水量 (n = 2276)

(2)2015年ネパール・ゴルカ地震の災害調査

 2015年4月にネパールで発生した「ゴルカ地震」は、ネパールとその周辺地域に深刻な被害をもたらした。なかでもランタン村の被害はすさまじく、地震によって引き起こされた大なだれによってほぼすべての建物が倒壊し、死者・行方不明者350名以上の壊滅的な災害となった。本研究では、ヒマラヤの高山域で運用可能なドローンを開発、地震発生半年後に現地調査を実施し、村を覆い尽くした雪崩のデブリの規模を計測した。あわせて解析した現地気象データから、前年冬季に発生した100年から500年に一度の大雪がなだれの規模を増幅させたことを明らかにした。


ドローン空撮データから作成した雪崩による被災範囲(左図)と推定した堆積量(右図)

個人HP:http://www.cryoscience.net/index.html
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