第22回げんさいカフェを開催しました

「地理情報システム(GIS)を防災・減災に活かす」

地理情報システム(GIS)学者 倉田 和己さん
名古屋大学減災連携研究センター地域社会減災計画寄附研究部門助教

 今回のカフェは「地理情報システム(GIS)」をどうやって減災に生かしていくかというお話でした。倉田さんは、名古屋大学の教員になるまで民間企業でGISの開発と研究をされていた方です。
 GISというと難しそうに聞こえますが、身近なものとしてはパソコンやスマートフォンで見るようなデジタル電子地図もその一つです。紙製の地図と違って、そこにさまざまな情報を盛り込んだり、他の地図と重ね合わせたりすることが可能なため、いろいろな活用ができるそうです。

 あまり知られていませんが、東日本大震災直後、日本中のGIS研究者・技術者たちがボランティアで協力して、各地の被災状況や避難所、孤立している地区の分布、ライフラインの復旧状況の地図などがどんどん作られ、災害対策に役立てられたのだそうです。またツイッターなどを通じて一般市民から寄せられた膨大な災害情報が盛り込まれた地図も作られていたとか・・・。GISが知らないうちに防災に役立てられていたんですね。
 こんなふうにいろいろなマップをボランティアで作り、つぎつぎ公開していく人たちのことを「マッパー」と呼ぶそうですが、この日のカフェの参加者の中からも「僕もマッパーです」と名乗り出る人もいて、大いに盛り上がりました。

 GISは、今後予想される南海トラフ巨大地震の防災対策にも役立つ可能性があります。たとえば地震動予測や津波浸水予測の地図と、津波避難ビルや避難場所の所在地を重ね合わせると、各地区の災害対策の課題が見えてきます。また明治時代の古地図や、昔のため池の分布図などのデータを入れると、小中学校が、意外に揺れが大きい場所に作られていることがわかったりします。
 これらのGISの成果を社会に広く使ってもらうため、名古屋大学減災連携研究センターと名古屋市都市センターが中心となり産官学民の関係機関と協力して、具体的な減災まちづくりにGISを活用するための研究会が行われているとのことです。2014年度末にもオープンする減災連携研究センターの新しい建物には、それらの成果が多数展示される予定です。

 会場の参加者たちからは、マップ作りの具体的な方法や情報の精度などについてさまざまな質問が出ていました。倉田さん、ありがとうございました。

日時:2013年3月5日(火)18:00〜19:30
名古屋大学カフェフロンテ(環境総合館斜め前、本屋フロンテの2階。ダイニングフォレスト向かい)

→ポスター(PDF)
※過去のげんさいカフェの様子はこちら

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