「地震によるライフライン被害を考える」
ライフライン地震工学者 北野 哲司さん
(名古屋大学減災連携研究センター ライフライン地盤防災寄附研究部門教授)
今回のテーマは住民生活の基本となるライフラインの被害です。特に、地下に埋設された管路をどのように地震から守るのか、ずっと研究してこられた専門家北野哲司さんと参加者の皆さんが対話をしました。
冒頭、北野さんは、宮城県石巻市にある石巻ガス㈱の地震津波被害をビデオなどで紹介、必死の復旧作業を紹介した場面には「最初にこれを見た時には胸が熱くなりました」と話していました。ライフラインは、そのネットワークが小規模であったり、単純であればあるほど、どこか一部が被害をうけただけで、その影響が全体にひろがってしまうという特徴があります。
そこで、地震被害を軽減する対策としては、①ライフライン自体の耐震性を上げる②ネットワークを冗長化、複線化して、一部が被害を受けても別ルートで供給できるようにする③できるだけ細かくブロック化して被害が最も大きかったところだけ切り離すことができるようにしておく④日ごろから訓練実施や事業継続計画策定、更にはライフライン事業者と行政との事前協議をしっかりたてておく。という考え方が必要だということです。
北野さんは、地下埋設の管路が地震で壊れるメカニズムやそれを防止する技術について説明、阪神淡路大震災以降にとられた対策のおかげで、東日本大震災のライフライン被害はかなり低減化が図られたと話します。そして最後に「地下に埋まっていてふだん見えないので、つい対策が遅れがちになる」とライフライン地震対策を地道に進めていくことの大切さを強調されていました。
会場からは「地下に埋まった管路のどこが壊れたのかどうやって検知するのか」や、「いまの耐震指針で次の巨大地震への対策は十分なのだろうか」といった質問がつぎつぎと出て、「圧力の低下が起きている範囲を手分けして、ガス検知器で調べて回る」「設計指針が完璧というわけではないので、ソフト対策も合わせて、被害を最小限にする努力を継続することが大切」と北野さんが答えていました。
今回も充実したげんさいカフェになりました。北野さん、参加者の皆さんどうもありがとうございました。