第35回げんさいカフェを開催しました

「減災館のひみつ」

センター長 福和 伸夫 さん
名古屋大学減災連携研究センター長・教授

企画・ファシリテータ:隈本邦彦
  (名古屋大学減災連携研究センター客員教授)

げんさいカフェは、「南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト」との
共催で実施しています。


 げんさいカフェは今回から、新しくできた「減災館」の1階“減災ギャラリー”の特設カフェで行われることになりました。記念すべき新装第1回のゲストは減災連携研究センター長の福和伸夫さんです。「揺れる」とか「揺れない」とかいろんなウワサが飛びかっている?この減災館のひみつについて、お話をしていただきました。

 まずはこの減災館が「なぜ三角柱の建物なのか」というひみつからスタート。答えは簡単「敷地が三角形だったから」なのだそうです。しかしふつうの四角形のビルに比べ少し地震に弱い三角柱のビルだからこそ、最高レベルの免震構造に設計する必要性が生まれたのだとか。必要は発明の母というわけですね。

 免震構造というのは、ビル本体が、積層ゴムなどで作られ揺れを吸収する免震装置の上に乗っているため、地震で地面がガタガタ揺れてもビルはあまり揺れないというしくみです。その意味では減災館はまさに「揺れない館」。しかも「その免震装置がよく見える」というのがこの減災館の自慢のひみつです。建物の横の歩道を歩いていると、ガラス越しに直径1.4メートルの「免震装置」や、揺れを抑える「オイルダンパー」などを見ることができ、ふだんから免震構造について実践的に勉強ができる仕掛けがしてあるそうです。

 ところが減災館は「揺れる館」でもあるのです。屋上には、部屋ごと、巨大地震のゆっくりとした大きな揺れで揺らすことができるという超ユニークな実験室があります。さらにこの屋上実験室が揺れると、その反動で減災館のビル全体も揺れ始め、それを建物じゅうに取り付けられている高感度センサーが捉えて揺れリアルタイムでモニタリングできるとか。「最先端のモニター技術の実験場でもある」というのもこの減災館のひみつです。

 ふだん減災館の1、2階は「市民、学生、子どもたち、行政の防災担当者が、目で見て手で触って防災・減災が学べる施設」、3、4階は「研究者が連携して研究する場所」として使われます。そのために随所におもしろい仕掛けがあるのですが、それは5月ごろに予定されている一般公開後のお楽しみにしていただくとして、いざ大地震発生というときには、「自治体や国、大学が連携して減災をはかるための活動拠点」となります。そのために,電気ガス水道そして通信が途絶えないための備えがしっかりされているのだそうです。

 さて福和さんがもっとも強調したかった減災館のひみつは「なぜ減災館を作ったのか」ということでしょう。人口も産業も集積し、独自の文化もある中部地方が、南海トラフ巨大地震にしっかりと持ちこたえなければ日本の未来はない、そのための備えを、いま産官学民の総力戦で急がなければという強い思いが、連携の場としての減災館(減災連携研究センター)を実現させたのだそうです。

 福和さんは、有名な上杉鷹山の言葉を引用しました。「為せば成る、為さねば成らぬ何事も。成らぬは人の為さぬなりけり」。

 “減災ギャラリー”での初めてのげんさいカフェ、80人を超す皆さんに集まって頂きました。会場の高校生からも質問が出て今回も対話が盛り上がりました。福和さん、ありがとうございました。これからも(お体に気をつけて)がんばってください。為せば成る!

日時:2014年4月2日(水)18:00〜19:30
名古屋大学減災館 減災ギャラリー

→ポスター(PDF)
※過去のげんさいカフェの様子はこちら

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