げんさいカフェ(第13回)

「”帰宅困難”にどう立ち向かうか」

平成24年6月18日(月)午後6時〜
都市工学者 廣井 悠さん(減災連携研究センター准教授)

今回のテーマは東日本大震災でも大きくクローズアップされた大都市の帰宅困難問題です。都市防災の専門家、減災連携研究センター准教授、廣井悠さんがゲスト。廣井さんは、帰宅困難問題に対して2つの大きな誤解があると指摘しました。1つは「3.11の時には歩いて帰れたのでたぶん次も帰れるだろう」というもの。そして2つ目は「帰宅できないということは災害時にはたいした問題ではないので、対策の必要はない」というもの。専門家の立場からは、こうした考え方は間違っていると廣井さんはいいます。

東日本大震災の首都圏では、最大震度5強程度の揺れで直接被害がほとんどないなかですら、まちやみちに大量の人があふれ、大混乱が発生しました。懸念されている南海トラフ巨大地震や直下型の地震がこの大都市を襲うときは、東日本大震災時の首都圏とまったく違った被災状況になります。

また火災や建物倒壊が発生するかもしれない中で多数の人が歩いて帰る場合、それらに巻き込まれたり、群衆雪崩が起きたりして人的被害が発生するかもしれません。無理に帰宅しようとすることで発生する混乱で、助けられるはずの人が助けられず、消せるはずの火災が消せない可能性があることを考えなければならないのです。

廣井さんは、結局のところ、鉄道や車による移動に過度に頼りすぎ、人口が集中し過ぎている都市の構造をそのままにし、災害時の広域避難の問題をないがしろにしてきたことのつけが「帰宅困難問題」として表れてきていると考えるべきで、これから将来の巨大地震に備えて災害に強い都市を作っていかなければならない「警告」と受け止めるべきだと話します。

会場からの質問もたくさん出て「納得ができた」「目からうろこが落ちた」という感想も頂きました。

次回は減災連携研究センター・ライフライン地盤防災寄附研究部門教授の北野哲司さんがゲストです。大地震のときに心配される地下埋設ライフラインの被害対策について考えます。ぜひご参加ください。
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