No.11:平常時と災害時の2つの顔を持つ「地域の対応拠点」

いつ来るかわからない大地震。そのとき減災館は災害対策の最前線になります。1階は地域の専門家、行政、メディアなどが集まって状況把握と情報発信をする場、2階は大学の災害対策本部として、災害直後からフル稼働する想定です。

名古屋大学の災害対策本部室

まず、本震のあと大きな余震が続いても安全かつ安心して活動を続けるために、免震構造が採用されています。名古屋大学では病院(2棟)についで3件目、東山キャンパスでは初。詳しくは減災館のヒミツNo.10をご覧ください。

災害時に約100人が1週間以上活動できるよう設備も工夫されています。電気は、屋上の非常用発電機(150kW)により災害対策本部など重要な部屋で1週間以上使えます。停電になると10秒程度で自動的に発電が開始されます。そのほかに屋上には太陽光発電(10kW)、外壁には電源車を接続できる端子がついています。

屋上設備

飲用水は、屋上に3立方メートルのタンクがあり、一人1日3リットルとすれば100人×10日分になります。緊急遮断弁があるので、地震後にきれいな水を無駄に使うことも防げます。雑用水は別なタンクに17立方メートル確保され、下水もある程度使用可能です。備蓄食料は倉庫に保管してありますが、一部は見える棚に入れて展示も兼ねています。

手前が飲用水(3㎥)、奥が雑用水(17㎥)のタンク

備蓄食料の展示

空調は電気が使えますし、非常時にプロパンガスを使って稼働させることのできる空調機もあります。また建物そのものにも工夫があり、地中を通した空気を取り入れるアースチューブや日射を避けるルーバーなどで空調の負担を減らし、省エネや災害時の機能継続にも配慮しています。

情報通信は、衛星通信で愛知県庁と接続することができますし、長距離無線LANで国土交通省中部地方整備局ともつながります。この回線でライブカメラ映像も受信でき、災害時の状況把握と情報収集に活用されます。また、学内に一斉に非常放送を流す設備があり、非常時の指示や緊急地震速報に使われます。

長距離無線LANのアンテナ

このように、平常時は減災に向けた学びや活動の場として、また災害時には災害対策拠点として、十分な機能を果たせるように設備や工夫が盛り込まれています。このほかにもいろいろあるので、ぜひ探してみてください。

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