げんさいカフェ(第9回)

「東日本大震災の謎を地殻変動から考える」

平成24年2月21日(火)午後6時〜 鷺谷 威先生

今回のゲストは、名古屋大学減災連携研究センター教授の鷺谷威さん、地殻変動学がご専門です。テーマは、今回の東日本大震災の前後で起きた地面の上がり下がりなど(地殻変動)のデータには「大きな謎がある」というお話でした。

今回の地震では、地震発生と同時に東北地方の太平洋沿岸各地が沈降しました。宮城県の牡鹿半島では約1mの沈下が起きたそうです。このこと自体に謎はありません。プレート境界で今回のような逆断層地震が起きれば、震源域の近く(東北沖の海底)では隆起が起き、震源地から少し離れた場所(東北地方の太平洋沿岸地域)が沈降するのは理屈にあっています。
しかし上記のような考え方であれば、地震のときに一気にエネルギーが解放されて沈降する場所は、ふだん、地震が起きる前にはじわじわと隆起していなければおかしいのですが、なんと、東北地方の太平洋沿岸ではこの60年間、少しずつ沈降をしていたというデータもあるのです。

では、東北地方太平洋沿岸は常に沈降してきたのかというと、実はそうでもないようです。過去10万年とか20万年とかいう長いスパンでみると、全体として隆起する傾向があることが地形の解析などからわかっています。謎はさらに深まります。

カフェ参加者のみなさんもこのあたりになると、頭の中が?マークだらけになってしまいましたが、こうしたすべての謎を一気に解決できる「鷺谷仮説」(現段階では学会発表前のアイデア段階なので、ここでは内緒にしておきます・笑)が披露されると、一同納得。でも本当にそんなことが起き得るのか、とみんなで一緒に考えました。

いま東海・東南海・南海地震の想定をめぐって想定震源域をどこまで広げるのかが焦点になっています。それをめぐっては今回のカフェで話題になった「東日本大震災前後の地殻変動をどう解釈するか」「プレートのもぐりこんだ先(地下の一番深いところ)では何が起きているのか」という問題が重要になってくるのだそうです。これからも、鷺谷さんたち研究者に頑張って研究してもらわないと、と思いますね。

次回のげんさいカフェは3月21日(水)。場所は今回と同じカフェフロンテです。耐震工学がご専門の名古屋大学減災連携研究センター准教授、護雅史さんに、地盤と建物の共振についてくわしくお話を伺います。ぜひふるってご参加ください。

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