第218回防災アカデミーを開催しました(内容紹介掲載、講演動画を視聴できます)

内容:将来の洪水へ備え、明日の洪水被害を防ぐ
講師:戸田 祐嗣 さん(名古屋大学 大学院工学研究科 教授/減災連携研究センター 兼任・協力教員)
日時:2026年5月13日(水)16:30〜18:00
場所:名古屋大学減災館1階減災ホール・オンライン


【講師からのメッセージ】
近年、毎年のように全国のどこかで洪水による甚大な被害が発生しています。気候変動の猛威は、遠い未来の話ではなく、もう目の前で起こり始めています。今後も地球温暖化が進んでいくと予測される中、将来を見据えた洪水対策や、明日、起こるかもしれない洪水の被害を防止・軽減する方策について、皆さんと一緒に考えたいと思います。

【内容紹介】
本日のアカデミーは,工学研究科土木工学専攻教授の戸田祐嗣先生に,「将来の洪水に備え,明日の洪水被害を防ぐ」についてお話しいただきました.会場参加が43名,オンライン参加が138名であり,多数の方が会場にて熱心に聴講されていました.詳細は,YouTube動画を参照いただければと思います(し,以下は若干のネタバレが含まれます)が,得られた気づきと学びを共有したいと思います.
戸田先生は,講義内容を前・後編に分けられ,第一部「気候変動に適応するための治水計画」,第二部「河道の維持管理技術の合理化・高度化に向けて」として構成されました.第一部では,近年の我が国における治水計画の変遷と照らし合わせながら,そうした動きの契機となった豪雨災害の特徴について整理されました.これまでの治水計画が過去のデータに基づいてつくられてきた「既往最大主義」であった一方,近年,全国各地で甚大な豪雨災害が起きており,新たに向き合わなくてはいけない「気候変動」への適応が課題となっているとのことです.その後の第二部では,既に迫っている気候変動の脅威に対し,後手に回らず「後悔しない適応」をするための対策として,洪水による被害を未然に防ぐための考え方が示され,洪水流による河岸侵食に伴う堤防被災事例の解析などを例に,「現状の安全性評価」に基づいた「予防的対策」の重要性を訴えられていました.
被害を受けてからの復旧・復興に比べて,科学的な検討に基づく事前対策は,はるかに少ない費用で進めることができるだけでなく,災害を受けにくい強靭な国土や社会を形成することに繋がります.私たちは普段,大病を患ったりせず健康な生活を送れるように,定期的に健康診断を受けて生活習慣を見直しながら暮らしていますし,不意な事故に遭わないように,また,遭っても通常に近い生活を続けられるように,さまざまな備えをしながら過ごしています.事前防災や気候変動適応といった大きな目標も,そうした「転ばぬ先の杖」の積み重ねと考えれば,私たち一人一人もできるところから少しずつ,取り組んでいけるのではないでしょうか.今回の戸田先生のお話は,何事も自分ごととして捉えて備えを進めるといった,防災の基本を改めて気づかせてくれるような学びがありました.最後になりましたが,近年の治水計画の変遷について平易にご解説いただき,ご自身の進められている最新の研究成果を踏まえて重要な気付きを与えてくださった戸田先生に対し,深甚の敬意・謝意を表したいと思います.(田代 喬 記)

 

→ポスター(PDF)

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