第142回げんさいカフェ in ぼうさいこくたいを開催、報告文を掲載しました

若者に防災減災を届ける方法を考える

ゲスト:防災をHappyに伝える防災士 まこぴ さん
→まこぴさんのインスタグラムアカウントはこちら
日時:2023月9月17日(日)14:30~16:00
場所:横浜国立大学教育文化ホールB101中集会室・オンライン
〒240-8501 神奈川県横浜市保土ケ谷区常盤台79番1号
企画・ファシリテータ: 隈本 邦彦 さん
(江戸川大学特任教授/名古屋大学減災連携研究センター客員教授)


今回のカフェは、防災関係のイベントなどに参加することが比較的少ない「若者」や「子育て世代のパパママ」たちにどうやって情報をお届けするか、神奈川県湘南地方で、「防災をHappyに伝える」ユニークな活動をされている防災士のまこぴさんにゲストに来ていただき、お話をいただきました。まこぴさん、サーフィン好きが高じて湘南に移り住んだという33歳の女性で、写真で見ていただける通り、金髪のおしゃれな方です。

期待通りの楽しいカフェになりました。
そもそもまこぴさんが防災に関心を持ったのは、お茶の水女子大に通っていた頃に東日本大震災が起き、教授にくっついて被災地支援に行ったことがきっかけだそうです。そこで行った岩手県陸前高田市が大好きになり、そのあとも通い続けて、ついに向こうにも家を借りて、いまでは湘南と陸前高田の2拠点生活をするようになったそうです。
本名は古島真子さんという方なのですが、みんなからまこぴさんという愛称で呼ばれているのでそのまま、まこぴと名乗って活動しているとのことです。
いまから3年ほど前に、防災士の資格をとり、その頃から防災を「ハッピー」に「カラフル」に伝える活動をやっていらっしゃいます。
「ハッピー」というのは、防災というと、とかく難しいという印象を持たれがちですが、楽しくイベントなどに参加しているうちに自然に必要な知識が身につくようなものにすることだそうです。
そして「カラフル」というのは、ひとの個性は十人十色であって、備えるべきことは人それぞれなので、それぞれに合わせて防災もカラフルであるべきということなのだそうです。
まこぴさんは、地域の人たちとともに、そういうハッピーでカラフルないろんなイベントやセミナーを開き、そして、それをきれいな写真や短い動画でインスタグラムを使って毎日発信するという、いまどきの方法で情報伝達をされてます。

 
そのまこぴさんに、私たちが若者に防災減災の情報を伝える方法を教えてとお願いしたのですが、のっけから、おじさんたちがSNSとかを使って若者に防災・減災を伝えようとしても、しょせんそういう小手先のテクニックでは無理、あきらめてくださいと言われてしまいました。(笑)元も子もないですね。
そこで出たまこぴさんの名言が“目には目を、歯には歯を、ギャルにはギャルを”という言葉。防災の世界ではペーペーで知識も少ない自分の唯一の強みは、「ギャルと防災を語れる」ということだとおっしゃいます。
で、実際にまこぴさんのイベントに参加してくれた人の写真を見ると、確かに20代後半とか30代くらいの、まこぴさん前後の世代のギャル達がたくさん参加していました。
まずは友達関係、そしてその友達の紹介、という形で広がっていき、中には、参加してくれたギャルが「うちのパパが幼稚園の先生やってるから、ちょっと幼稚園でセミナーをやってもらうように紹介するね」とか、そういうこともあったそうです。
そして、まこぴさんがおっしゃるには、若者を十把一絡げにして「若者は防災に関心がない」って決めつけるのはよくない。実はそうではなくて、災害怖いなと思っている人、なんかやんなきゃと薄々思っている人はたくさんいて、中には興味があって発信したいと思っている若者もいるんだというのです。でも防災を仕事にしても、あまりお金にならなそうとか、だんだん先細って結局、あきらめてしまったりしているんじゃないか。
だからおじさんたちの仕事は、そういうダイヤの原石みたいな若者を見つけ出して、サポートしバックアップすることなんです。そうすると、きっとその若い人から別の若い人に情報が伝わっていくはず、ということでした。

もうひとつ、まこぴさんは、「防災と楽しいことの掛け算」も大事だとおっしゃってました。やっぱり防災だけがテーマだと人は集まりづらい。だけど、何か他の楽しいことと掛け合わせたときに、新しく来てくれる人いるんだそうです。
その1つ実践例が「防災×アロマ」で、アロマセラピストのお友達とコラボして、手作りのアロマスプレー作りのイベントを開き、その場で防災リュックについてまこぴさんがミニ講座。そして作ったアロマスプレーを防災リュックに入れて「これでいざという時に香りで心の安らぎが得られるね」とやったそうです。アロマは若い女性に人気がありますから、たくさんの方が参加してくれたそうです。

 
もう一つが「防災×お酒」というアイデアで、今年の3月11日に茅ヶ崎の一番人気の居酒屋でイベントを開いたそうです。
その場に集まったサーフィン好きの人たちに、津波についてのミニ講義、実際に陸前高田ではこんなことが起こったんだよという話をまこびさんが伝えて、地震発生の時刻に黙祷、そしてその後、知り合いの陸前高田の漁師さんから届いた毛ガニとか、めかぶとか、ソウルフードのホルモンをみんなで食べるということをやったそうです。
すごい参加人数で盛り上がったそうですが、ただ盛り上がったっていうだけじゃなくて、なんで来てくれたのかっていうのを初めて会った人に聞いてみたら、実は311直後に陸前高田行ったことあるんだよと話してくれた人とか、津波が怖くて防災に興味はあったけど学ぶ機会がなくて、みたいなお話をしてくれた人がいたそうです。
おそらく、人気の居酒屋で開催しなければ、その方とまこぴさんの接点は一生なかったのでしょう。しかしお酒と素敵な居酒屋とのコラボのおかげで、実は興味があったっていう人たちとマッチングすることができたというわけです。

この「防災×お酒」っていうのは、私たちおじさんでもできそうだなと思いましたね。
でもやっぱりそこに若者や子育て世代にたくさん来てもらうためには、防災に関心をひそかに持っている若者やパパママを探さないと、その人たちが発信源になってくれないといけないな、とは思いました。
実はこのげんさいカフェは、いつもの減災館と違って、この日横浜国立大学でひらかれた内閣府のイベント「ぼうさいこくたい」の会場で開きましたが、その「ぼうさいこくたい」には、大学の防災サークルの若者とか、防災に関心がある看護学生なんかもたくさん参加していて、まこぴさんがおっしゃるように、防災に関心を持っている若者、確かにいるなと実感しました。
私たちは、そういう人材をいつも探している必要があるんだな、と思ったカフェでした。
今回も会場に31人、オンラインで89人の方が参加してくださいました。まこぴさん、参加者のみなさん、ありがとうございました。

 

 

→ポスター(PDF)

→過去のげんさいカフェの様子はこちら

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