研究領域

中野正樹の研究紹介

(1)道路盛土の材料特性・締固め等が地震時の安定性に及ぼす影響

 近年、地震により多くの土構造物の崩壊が起こっている。特に道路盛土に注目し、盛土材料の力学特性を室内試験により把握し、その挙動を高度な構成モデルで記述し、盛土構造物全体の地震時の挙動を数値解析で再現、そのメカニズムの解釈を試みている。2007年の能登地震、2009年の駿河沖の地震での盛土崩壊は、盛土材料としていわゆる脆弱岩(風化岩)の材料劣化が原因の一つと考えられていることから、さまざまな盛土材料の力学特性に注目し、研究を進めている。


図1 能登半島地震の道路盛土崩壊の再現
(せん断ひずみ)

図2 駿河沖の地震での道路盛土崩壊の再現
(せん断ひずみ)

(2)災害廃棄物等の木片を含む分別土の有効活用に向けての物性把握


図3 木片混入の有無と含水比が一軸圧縮強さに及ぼす影響

東日本大震災で大量に発生した津波堆積土を含む災害廃棄物は、利活用のため破砕・選別といった高度処理がなされ、その結果、分別土が生成された。しかし、分別土には木片が含まれ、短期的・長期的性状が把握できず、有効利用のボトルネックとなった。そこで、木片が混入した分別土を対象に、長期的腐朽による力学特性の変化を確認し、復興資材として利活用の道筋を示すため、研究を進めている。

(3)大規模災害での廃棄物処理事業に関わる管理システムの構築

 東日本大震災の教訓として、被災地の早期復興には災害廃棄物等の処理・利用が鍵である。また、処理事業に直接携わる各地方自治体において、発災前・後の処理計画の策定、管理システムの構築が必須である。そこで東日本大震災で得られた災害廃棄物等の処理事業に関するデータを分析・活用し、津波堆積物や分別土砂の処理・利活用のためのデータを収集し、災害時にリアルタイムで集積するデータが効率的に利用でき、円滑に災害廃棄物処理事業を進めていくための支援システムの構築を目指している。

個人HP:http://profs.provost.nagoya-u.ac.jp/view/html/100001846_ja.html
げんさいカフェの講演(第25回):http://www.gensai.nagoya-u.ac.jp/?p=1280
防災アカデミーの講演:
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