研究領域

中村光の研究紹介

(1)コンクリート構造物の耐震性能照査法の開発

キーワード:RBSM、損傷評価、ポストピーク
 地震に対するコンクリート構造物の安全性を評価するには最大荷重ではなく最大荷重後の変形性能を正確に評価する必要がある。一方、地震後の損傷から速やかに構造物の機能回復を図るために、近年では修復性(復旧性)の評価が重要になってきている。修復性を評価するために、構造物のどの位置にどの程度の損傷が生じる可能性があるかを再現できる数値解析手法が求められている。構造物の数値解析手法として、コンクリートのひび割れ進展や損傷の局所化などの不連続現象を精度よく評価できる数値解析手法である剛体バネモデル(RBSM)を用い、安全性だけでなく修復性も評価可能な数値解析手法の開発と各種構造物への適用を進めている。

ねじり振動するRC建屋の応答と損傷評価(国際ベンチマーク解析プロジェクト



PHC杭の実験とRBSMによる損傷評価

(2)軸方向鉄筋の座屈発生を抑制し高靭性コンクリート部材の開発

キーワード:鉄筋座屈、内部ひび割れ進展、コンクリート拘束補強
 地震のような繰返し荷重を鉄筋コンクリート部材は、多くの場合、軸方向鉄筋の座屈が発生することで終局を迎える。鉄筋の座屈防止には軸方向鉄筋を取り囲む帯鉄筋が有効であると考えられており、耐震性向上のために帯鉄筋を非常に密に配置することが設計上求められている。
 そのような一般認識に対し、鉄筋の座屈発生について、鉄筋周辺に外部から観察できない⽔平ひび割れが進展し、そのひび割れの拡⼤に伴い鉄筋周辺の拘束力が減って座屈が発⽣するという新たなメカニズムを提唱している。さらに、提唱したメカニズムに基づき、内部ひび割れの進展を阻害することで、鉄筋周辺のコンクリートが座屈変形を拘束するコンクリート拘束補強という概念を提案している。この概念は、帯鉄筋により座屈を拘束する従来の考え方と全く異なるものである。新たな鉄筋座屈防止概念により、帯鉄筋を⽤いなくても座屈を防⽌し、損傷の低減と変形性能の向上ができる部材の開発を行っている。


内部に発生するひび割れとコンクリート拘束補強の概念


内部ひび割れの進展を阻害することで、帯鉄筋を用いなくて
も、従来以上の変形性能を持つ部材開発の可能性

個人HP:http://concrete-lab.civil.nagoya-u.ac.jp/index.html
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