第53回げんさいカフェを開催しました

「外国人から見たニッポンの減災対策」

ゲスト:都市計画学者 Emanuel LELEITO(エマニュエル レレイト)さん
(名古屋大学大学院工学研究科マイクロ・ナノシステム工学専攻講師
減災連携研究センター兼任)

日時:2015年10月7日(水)18:00〜19:30
場所:名古屋大学減災館 減災ギャラリー
企画・ファシリテータ: 隈本 邦彦(名古屋大学減災連携研究センター客員教授)

げんさいカフェは、「南海トラフ広域地震防災研究プロジェクト」との共催で実施しています。


 レレイトさんは、アフリカ・ケニア出身の研究者。16年前に来日して、いまは名古屋大学大学院工学研究科で都市計画学を研究しておられます。減災連携研究センターの兼任教員でもあり、世界中から名古屋大学に来ている留学生たちへの防災教育、災害対策にも力を入れてくださっています。
 
 カフェではまず、ケニアという国と国民についての基礎知識をご紹介いただきました。レレイトさんはケニア西部のケリチョという地方のご出身なのですが、世界の陸上界で大活躍している選手のほとんどはケリチョ地方とその周辺の高地の出身者だということです。レレイトさん自身は?というと「自分では足が遅いと思っていたが、日本に来て大学のマラソン大会に誘われて参加したら優勝してしまった」のだそうで、日本とケニアではもともとのレベルが違うという訳ですね。

 ケニアには「Hakuna Matata」という素敵な言葉があるそうです。「なるようになる。ケセラセラ。悩まずに生きよう」という意味。毎年のように干ばつや洪水が起きる厳しい自然の中で生きてきたケニアの国民が身につけた心の持ちようなのでしょうか。自然と人間がどう対峙するべきか、それもこの日のげんさいカフェのテーマでした。

 さて外国人から見て、日本の防災、減災対策がどう見えるか、率直に伺ってみました。レレイトさんの答えは「厳しい自然災害に、最新の科学技術を使ってコントロールしていこうという日本人の姿勢はすばらしい」「命を守ろうという強い決心を感じる」と褒めていただきました。「ケニアのHakuna Matata的な考え方だけでは防災対策は進まない、命を守るために必死で自然災害と闘ってきた日本からケニアが学ぶところは多い」と考えているそうです。ただし「例えば、日本の一部の都市河川のように、両岸をコンクリートで固め、水辺の環境に背を向けて人と川との交流をなくしてしまうというようなやり方は、少しやり過ぎかも」とちょっぴり苦言も。街づくりに関しては「もっと楽しく気楽に、Hakuna Matataな部分も取り入れて進めていくべき」とおっしゃっていました。

 日本ではあたりまえの「防災教育」という言葉も、外国の方には新鮮なのだそうです。その中身は、単なる知識の習得だけではなく、地域や仲間を守るためのリーダーシップを磨くなど「災害に立ち向かう態度」をも学ぶことだと気づいたということでした。いまはそれを留学生たちにも伝えているそうです。

 会場の参加者のみなさんとの質疑応答では、「外国人から見て、日本の原発再稼働についてはどう感じますか」「日本は国が災害対策の中心になろうとしていますが、ケニアではどうですか」「インドネシアでは安全対策を売りにしていた日本の新幹線システムが、安い外国のシステムに負けてしまったが、これについてはどう思いますか」など、いつもよりグローバルな(笑)視点からの対話が実現しました。

 レレイトさん、参加者の皆さん、ありがとうございました。

→ポスター(PDF)
※過去のげんさいカフェの様子はこちら

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