げんさいカフェ(第12回)

「関東大震災を正しく知る」

平成24年5月14日(月)午後6時〜 武村 雅之先生

第12回のゲストは、地震学者で、名古屋大学減災連携研究センター・エネルギー防災寄附研究部門教授の武村雅之さんです。

1923年に起きた関東大震災のことを徹底的に調べ、書籍を何冊も出していらっしゃる武村さんに、関東大震災のほんとうの実像と、それから得られる教訓などについてお話しいただき、対話をしました。

関東大震災で東京は、すっかり焼け野原になりましたが、そうなる前(地震発生から数時間後)に、当時の警察が建物の倒壊について詳しく調べていました。その資料を元に各地の揺れの強さを推定すると、東京下町の隅田川より東と、東京駅の西側に揺れの強い場所がありました。そこはいずれもかつて海だったり入り江だったりして、地盤の悪いところでした。他にも池を埋め立てたところだけが周囲より揺れが強かったなどの例もありました。そしてそのように揺れが強かった地域では、建物の倒壊により火災が多数発生、そうした地域と死者が多かった地域がぴったり重なっていました。

関東大震災の後、市街地の建物に耐震基準ができ、それが全国的に適用され、その後中身も強化されてきました。武村さんはこの歴史を振り返って「耐震基準がなかった時代には地震で多くの人が亡くなっていたが、耐震基準が厳しくなった後はあまり人が亡くならなくなった」といいます。そして最新の耐震基準にあわせて建物の改修や補強をしておけば、いつ大地震が来ても生き残れる可能性が高いことを強調しました。

80人がつめかけた会場からは「関東大震災は海溝型地震なのになぜ震源域が陸域の下まで入り込んでいたのか」「大粒の余震が多かったのはなぜか」などの質問が寄せられていました。

次回6月18日(月)は、都市工学者で、減災連携研究センター准教授の廣井悠さんに、帰宅困難問題にどう立ち向かうかをテーマにお話いただきます。ぜひご参加ください。

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