げんさいカフェ(第7回)

「東日本大震災の謎を地震学者と考える その2」

平成23年12月26日(月)午後6時〜 山中佳子先生
(減災連携研究センター/地震学)

今回のゲストは、地震学がご専門の山中佳子さんでした。
テーマは「津波地震」。津波地震は、地震の規模や揺れの強さに比べ、津波が非常に大きいタイプの地震のことです。世界中を見渡すと、地球の表面を覆うプレート(岩板)とプレートの境界付近で、過去に何度か津波地震が発生しています。日本付近でも1896年に明治三陸沖地震が起きています。この時は、地上で感じる震度が比較的小さかったのに、巨大な津波が海岸を襲い、2万2千人が亡くなっています。典型的な津波地震だったと考えられています。
山中さんのお話では今回の東日本大震災の地震は、ふつうの巨大地震と津波地震の両方のタイプの地震が連動したらしいということです。震災後によく言われるようになった、明治三陸沖地震と同じような津波地震は海溝沿いでどこでも起こり得る,従って南海トラフでも海溝沿いで津波地震が起こる可能性があり今後注意が必要という説には疑問を持っている、と話しました。
山中さんの考えでは、津波地震は、プレート境界のどこでも起きるのではなく、ある特定の条件が揃ったところしか起きないのではないか、だから、「どこでも起き得る」と簡単に言ってしまうのではなく、津波地震を起こす何らかの条件を見つけ出すことが、今後学問のやるべきことであるのではないかと話しました。
この日はとても寒かったのですが、会場の客席はいっぱいになり、今回はじめて参加したという方も多数いらっしゃいました。「地震が連動するということの定義は何?」などの質問が活発に出て、研究者と市民の対話が生まれていました。次回は1月25日(水)午後6時から、おなじIBカフェで行われます。ゲストは津波災害の専門家水谷法美さん、東日本大震災の巨大津波の謎について考えます。ぜひご参加ください。

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