シリーズ・ 伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(3)「クラウドファンディング事業・調査研究 報告会」を開催しました

名古屋大学減災連携研究センター「伊勢湾台風から60年」記念事業
シリーズ・伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(3)
クラウドファンディング事業・調査研究報告会

 
■日 時 2019年12月21日(土)13:30-16:30
■場 所 名古屋大学 減災館1階 減災ホール
■参加者 約80名

 減災連携研究センターでは、クラウドファンディング「迫りくる!スーパー伊勢湾台風に備えるために」(7月1日~9月26日、寄附総額255.9万円)を通じて調査研究を進めてまいりました。このたび、同クラウドファンディング事業の調査研究報告会として、11月16日(第1回)、同20日(第2回)に続いて開催いたしましたところ、80名を超える参加者がありました。
 野田利弘 副センター長/教授による挨拶に始まり、秋山晶則 教授・岐阜聖徳学園大学教育学部から「木曽三川の流域治水史をめぐって」と題する講演に続いて、本クラウドファンディング事業に関する調査研究として、田中圭 主幹研究員・日本地図センター研究開発部から「アメリカにあった伊勢湾台風の災害資料」、倉田和己 特任准教授から「60年後に改めて読み解く伊勢湾台風の被害と教訓~伊勢湾台風という災害記録の再構築」、荒木裕子 特任准教授から「大規模浸水と避難者支援」、末松憲子 研究員から「伊勢湾台風被災地を訪ねて分かったこと~高潮・洪水巡検ツアーを振り返って~」、田代喬 副センター長/特任教授から「スーパー伊勢湾台風の襲来に備える」と題する5件の報告があった後、最後に総合討議が行われました。
 秋山教授の講演では、伊勢湾台風によって甚大な被害を受けた濃尾平野とそれを形成してきた木曽三川について、名古屋大学附属図書館所蔵の「高木家文書」を始めとする近世の歴史資料の解析をもとに、御囲堤や輪中堤の成立、木曽・長良・揖斐川の三川分離策とそれに基づく治水事業(宝暦治水など)の展開などが紹介されました。田中主幹研究員の報告では、昨今の台風19号による荒川上流域の被災状況に続き、クラウドファンディング事業の成果として減災館ギャラリー・ホールで展示中の伊勢湾台風襲来2週間後のオルソ画像について、米軍によって撮影された航空写真元データの発掘、編集から地図化に至る制作過程が紹介されました。
 続いて当センターにおける調査研究成果として、「伊勢湾台風災害誌」(名古屋市)から抽出した各種データを材料に、倉田特任准教授からは、被災地域における浸水深や犠牲者、沿岸地域に散在した貯木場、復興過程における避難所の空間的配置を地図上に整理・分析した事例が、荒木特任准教授からは、発災からの時間経過とともに被災者の避難状況を追跡することにより、発災前後から復興にかけての人々の動きを分析した事例が紹介されました。末松研究員は、伊勢湾沿岸域を巡る高潮、輪中地域を巡る洪水といった、被災要因に応じて設計された2種の巡検ツアーを振り返り、被災地の特性を正しく理解する上で、本巡検ツアーが有効であったことを報告しました。また、田代副センター長は、近年襲来した台風と対比しながら伊勢湾台風の特性を整理したうえで、現在までに整備されてきた堤防などのインフラや当時と異なる人々の暮らしぶりを踏まえ、「スーパー伊勢湾台風」が襲来した場合に想定される懸念を示しました。
 最後の総合討議では、会場の参加者の方々を含めて、上記した講演、報告内容について活発な意見交換がなされ、盛況のうちに幕を閉じることとなりました。なお、今回、当センターの構成員が発表した上記の調査研究は、今後も継続して進展させていく予定であることも相互に確認しております。末筆ながら、本シンポジウムにご参画いただいた皆様、クラウドファウンディング事業にご支援いただいた皆様には深く御礼申し上げますとともに、今後ともご理解、ご支援くださいますよう、改めてお願い申し上げる次第です。どうぞよろしくお願い申し上げます。




                    報告の様子
 


※こちらのイベントは終了しました。

減災連携研究センターは、下記の通り、「伊勢湾台風から60年」記念事業 シリーズ・
伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(3)「クラウドファンディング事業・調査研究
報告会」を開催いたします。
ご参加くださいますよう、よろしくお願いいたします。

 

→チラシはこちら(PDF)

名古屋大学減災連携研究センター「伊勢湾台風から60年」記念事業
シリーズ・伊勢湾台風から60年:特別シンポジウム(3)
「クラウドファンディング事業・調査研究報告会」

「迫り来る!スーパー伊勢湾台風に備えるために」と銘打って、7月1日から 9月26日に
かけて募集しておりました、名古屋大学減災連携研究センター・クラウドファンディン
グ事業第二弾は、寄附総額255.9 万円(目標に対して128%)ものご厚志をいただき、
成立いたしました。みなさまからの貴重なご支援に、厚く御礼申し上げる次第です。ど
うもありがとうございました。
シリーズ・伊勢湾台風から60 年:特別シンポジウム第三弾としては、クラウドファン
ディング事業の調査研究事業の報告会として開催いたします。伊勢湾台風により甚大な
被害を受けた濃尾平野の歴史的背景について、秋山晶則教授(岐阜聖徳学園大学教育学
部)にご講演いただいた後、減災連携研究センターに所属する教員、および、関係する
研究者から実施中の事業の現状に関して報告いたします。

■日 時 2019年12月21日(土)13:30-16:30(13:00開場)
■場 所 名古屋大学 減災館1階 減災ホール
■プログラム

13:30 ~ 14:20  講演 
 「木曽三川流域治水史をめぐって」
    秋山晶則(岐阜聖徳学園大学教育学部 教授)

14:20 ~ 16:00  報告
 「アメリカにあった伊勢湾台風の災害資料」
    田中 圭(日本地図センター研究開発部 主幹研究員)
 「伊勢湾台風の浸水域と地図情報」
    倉田和己(名古屋大学減災連携研究センター 特任准教授)
 「大規模浸水と避難者支援」
    荒木裕子(名古屋大学減災連携研究センター 特任准教授)
 「伊勢湾台風被災地を訪ねて分かったこと~高潮・洪水巡検ツアーを振り返って~」
    末松憲子(名古屋大学減災連携研究センター 研究員)
 「スーパー伊勢湾台風の襲来に備える」(スペシャルギャラリートーク)
    田代 喬(名古屋大学減災連携研究センター 副センター長/特任教授)
 
16:00 ~ 16:30  総合討議
  コーディネーター: 田代 喬
 
※ 事前申込不要、入場無料
※ 講演の撮影・録音はご遠慮ください。
※ 駐車場はありません。必ず公共交通機関をご利用ください。

主催:名古屋大学減災連携研究センター
後援:自然災害研究協議会中部地区部会

問い合わせ先:名古屋大学減災連携研究センター tel 052-789-3468
 

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