研究領域

谷川寛樹の研究紹介

(1)都市の物質フロー・ストック分析を通じたストック型社会の形成 

キーワード:物質蓄積・耐用年数・
 物質ストックとは、社会に滞留し、人々の豊かさを引き出すサービスを提供するもので、耐久消費財や建築物、土木構造物など社会に不可欠なものであるが、国土の強靭化、人口減少・高齢化やインフラの維持管理費の増大といった社会の変化に対応したメリハリのあるストックの適正管理が求められる。本研究室では、既存の物質フローに加えて物質ストックを把握することで、貴重な資源の有効利用や将来の廃棄物量の削減や、潜在的な二次資源を把握し、循環資源の高度利用と資源確保に資するものである。物質ストックを適正管理し、社会をフロー型からストック型に導くことで、自然資源投入量の低減化による自然環境への負荷低減および低炭素化にもつながり三社会統合化にむけた布石にもなる。循環型社会形成基本計画への貢献を進めている。


<図:日本全国の建設系物質ストックの分布>
H.Tanikawa, T.Fishman, K.Okuoka, K.Sugimoto(2015) The Weight of Society Over Time and Space: A Comprehensive Account of the Construction Material Stock of Japan, 1945–2010, Journal of Industrial Ecology, DOI: 10.1111/jiec.12284

(2)災害による「失ったストック(Lost Stock)」の推計

キーワード:インフラサービス・ストックサービス・都市サービス消失量
 当研究室では、上記のような物質ストック分析研究を応用し、災害発生時に何らかの被害により本来提供すべきサービスを失った構造物の物質重量を「失ったストック(Lost Stock)」と定義し、その推計作業を進めている。失ったストックを推計するメリットは次の通りである.1) 被災前に当該地域が有した社会活動量を回復するために,元々どの程度の建築物およびインフラに支えられていたか,復興に向けた資材必要量のベースラインを示すことが可能になる.2) 被災前の建築物とインフラ(道路)を対象に,構成していた資材の量と質について地域の分布を地図で示すことができる. 3) 地上と地下といった垂直位置での分類にも対応可能であるため,被災後に残存しているストックを示すことができ,被災前と同位置に残存基礎を共有して住宅等を建築する場合の建設資材の回避量を検討することができる.


<図>構造物情報と津波浸水データのオーバーレイ(Google Earthを用いてデータを表示)
H.Tanikawa, S.Managi, C.M.Lwin (2014) Estimates of Lost Material Stock of Buildings and Roads Due to the Great East Japan Earthquake and Tsunami, Journal of Industrial Ecology, Vol.18, Issue3, pp.421-431, DOI: 10.1111/jiec.12126

個人HP:https://sites.google.com/site/ensap758/
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