第18回げんさいカフェを開催しました

「減災まちづくりの考え方」

都市計画学者 村山 顕人さん
(名古屋大学大学院環境学研究科准教授)

 今回は都市計画学がご専門の村山顕人さんがゲスト。まちづくりに防災の視点を入れる考え方の基本について話を伺いました。

 まず村山さんが、名古屋のまちづくりの歴史を振り返り、戦略的な理由に加えて「水害に強い」という防災的理由もあって清州城がいまの名古屋城に移転したという史実を紹介、そこに防災まちづくりの観点があったと述べました。そして江戸時代の大火をきっかけに広小路の拡幅が行われたり、第2次世界大戦後の焼け跡からの復興の時に、久屋大通や若宮大通などの100m道路が建設されたことなどにも防災の考え方が表れていると強調しました。

 しかし、戦後の名古屋の街の発展は、比較的災害リスク高い西部に住宅街が広がっていくなど、防災まちづくりとは逆行する面もあるということ。そこで都市計画の専門家や防災の専門家ら有志が集まって、名古屋市内のいくつかの地区を具体例に、防災を意識した「街の改造計画」をひそかに(笑)作っているという研究も紹介していただきました。その中には、将来の人口減少時代に備えて人が住む範囲を減らしていくとか、津波や浸水に強い集合住宅をたててそこに住民の移転を誘導するなど大胆な考え方もあり、「勝手にそんな計画を作るな」と地元の人に怒られそうですが、もし地域の人たちが、真剣にまちを良くしていこうという機運が高まれば、計画を提案して一緒に考えて行こうという心づもりなのだそうです。

 村山さんは「自分が73歳になる2050年をイメージして、子どもや孫たちとともに、住みやすく安全な町を作ろうとしています」と、都市計画学者としての気構えを語ってくれました。現代の日本のまちづくりというのは、少子高齢化、景気の低迷、国・自治体の財政の悪化、環境問題などのさまざまな進行性リスクに対応しながら、ときに起きる巨大地震や津波などの突発性リスクにも備えなければならないという難しさがあるということで、そんな苦労がよくわかるカフェでした。

→ポスター(PDF)
※過去のげんさいカフェの様子はこちら

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