第17回げんさいカフェを開催しました

「鉄筋コンクリート造建物の耐震性」

建築構造学者 勅使川原 正臣さん
(名古屋大学大学院環境学研究科教授)

 今回のテーマは「鉄筋コンクリートの建物が地震でどう壊れるか」ということで、鉄筋コンクリート研究の第一人者である建築構造学者・勅使川原正臣さんとの対話でした。

  勅使川原さんは、まずRC造という言葉の意味を、実物の工事の写真を使って説明してくださいました。鉄筋で作ったかごの周りをセメントと砂、砂利で囲んだものがRCつまり鉄筋コンクリートです。もともと引っ張りに強い鉄筋と、圧縮に強いコンクリートを組み合わせた、とてもいい建築材料なのだそうです。値段の安さも魅力で、一立方メートル(2トン)当たり1万円程度(1キロ5円)です。

 そうはいっても、地震で建物に強い力が加われば鉄筋コンクリートも壊れます。どのように力が加わると、どのような壊れ方をするのか、豊富な実験データなどをもとに、詳しく解説していただきました。

 これらのデータをもとにした設計により、最近では、鉄筋コンクリートによる超高層ビルが実現しています。それは地震による建物の変形を、各階がしっかり分担して揺れに耐えられることなどが計算上確かめられているからです。

 日本の鉄筋コンクリートの建物の耐震基準は1971年と1981年にそれぞれ厳しく変更されたそうですが、それ以前に建った建物は現在もまだ多数残っています。それは次の巨大地震の揺れに耐えきれず倒壊する恐れもあります。いまの耐震基準を満たしていない古い建物は、できるだけはやく耐震補強することが必要と勅使川原さんは強調しました。鉄筋コンクリート造の建物に対する耐震補強の効果は去年の東日本大震災でも確かめられたということです。

 今回のカフェにもさまざまな年齢層の参加者が多数参加してくださいました。会場からは「鉄筋コンクリートの建物は何年持つのか」や「津波に対する強度は十分なのか」「火災に対しては?」など活発な質問が出ていました。

 次回は11月16日(金)。「減災まちづくりの考え方」について都市計画学者の村山顕人さんとの対話を行います。ぜひご参加ください。

→ポスター(PDF)
※過去のげんさいカフェの様子はこちら

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