研究領域

岡本耕平の研究紹介

(1)ハザードマップによる住民の防災力向上策

キーワード:
 近年、多くの自治体において洪水、地震、津波、土砂災害など様々な災害についてのハザードマップが作成され、各世帯に配布されたり、自治体のホームページで公開されたりするようになった。しかし、多くの住民はそのことを知らず、配布されたハザードマップが全く活用されないままになっている場合が多い。
 住民がハザードマップなどの防災情報を主体的に収集・活用していくようになるためには、どうすればよいか。その方策として、行政の直接的・間接的な支援のもとに住民が自らハザードマップを作成することにより、住民が主体的に地域の防災情報を学ぶといった試みがいくつかの地域でなされている(例えば、愛知県の「みずから守るプログラム地域協同事業」や熊本市の「地域版ハザードマップ事業」
 住民たちが作成するハザードマップに掲載される情報の多くは、危険な側溝の位置や水につかりやすい場所など、日頃の経験に基づくローカルな情報であり、行政のハザードマップが提供する想定浸水深のような情報とは性質が大きく異なる。両方の情報が統合されてこそ、防災に効果がある。住民団体や個々の住民自らが、容易に科学的な知を導入でき、それをローカルな知とうまく統合できるような方法の開発が必要である。

防災のための知・行動・ステークホルダーの統合に向けてのロードマップ.
出典: Gaillard, J. C. and Mercer, J. (2013) From knowledge to action: Bridging gaps in disaster risk reduction. Progress in Human Geography 37(1) : 93-114.

(2)外国人向け防災情報の開発

キーワード:
 1995年の阪神淡路大震災や2004年の新潟中越地震以降、日本に在住する外国人が災害弱者であることがクローズアップされるようになり、名古屋大学災害対策室は2006年にシンポジウム「災害弱者をどう救うか:外国人への情報提供を考える」を開催した。
 2017年末の在留外国人統計(法務省)によれば、愛知県は東京都についで外国籍住民数が多い。2019年4月に施行された改正入管法により外国人労働者の受け入れが単純労働分野にまで拡大され、製造業が盛んな東海地域では、今後ますます多くの外国人の流入が予想される。また、定住外国人のみならず、観光で日本を訪れる外国人も急増している。
 こうした外国人に災害時に適切な情報をいかに迅速・正確に伝えるかは重要な課題である。その方法の一つが、防災情報テンプレートの利用である。防災情報の多くは定型的であり、過去の災害時に必要とされた情報を分析して事前にテンプレートを用意しておけば、発災時には最小限の情報をテンプレートに付加するだけで、防災情報が伝達できる。テンプレートの活用によって、外国語への正確な翻訳が可能となる。
 そこで、災害情報を多言語(英語、中国語、ハングル、ポルトガル語、スペイン語)に翻訳するテンプレート翻訳システムを開発し、2007年に愛知県国際交流協会のホームページで公開した。その後、フィリピン語と「やさしい日本語」を追加した新しいシステムを構築し、現在、名古屋大学減災連携研究センターからの公開を準備中である。

多言語防災情報翻訳システムの画面 http://ktgis.net/tagengo/

個人HP:http://www.geogr.lit.nagoya-u.ac.jp/okamoto/okamoto.html
防災アカデミーの講演(第47回):http://wwwevrc.seis.nagoya-u.ac.jp/taisaku/chiiki_katsudo/academy/kaisaikiroku/57.html
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