近藤ひろ子先生(防災教育スーパーバイザー)のブラジル紀行⑩

3月18日(月)夜、再び、州政府専用機でモンチスクラーロ市から州都ベロオリゾンチ市へ。
(初めての低空夜間飛行。ちらちらとまたたく街の灯りをながめながら、うとうと…。夢の夜間飛行でした…。)

3月19日(火)現地時間11:52(日本時間23:52)ベロオリゾンチ空港を出発(国内線でサンパウロへ)。
サンパウロ・フランクフルト(ドイツ)を経由して、3月21日(木)9:40 中部国際空港に到着。34時間の長旅が終わりました。

<ブラジル紀行雑感>

  • 都市に集中する人口、増え続ける車(多発する交通事故、朝の大渋滞、あまりに多い一方通行)、大きな社会格差、スラム街、薬物、犯罪etc、etc。ブラジルはこれからの国。それでも、国を、州を、市を動かしている人たちはもう気づいている、「命の尊さ」「子どもたちの笑顔の尊さ」を。ミナスジェライス州防衛局情報収集部長(州警察出身)の青年は、「災害や薬物から、子どもたちや若者たちの命を救ってあげたいんだ。ぼくがぜったい彼らの命を救う!」と、きらきらした目をしながら、私に語った。日本もブラジルもタイも、みんな願いは一緒だと思った…。
  • 災害に限らず、犯罪、薬物、交通事故、飛行機事故など多義に渡るCivil Defense(市民防衛)を扱うミナスジェライス州防衛局。しかし、JICAは「防衛局」という訳を避け「ミナスジェライス州防災局」と訳す。そこには、日本における「防衛」という言葉のもつ微妙な問題がかくれている。
  • 各州の防衛局は、州軍隊(州の中を守るためのもの)・州警察・州消防の三者が一つになって組織されている。いざというときには、機動力・統率力に基づく迅速な対応ができる。(各市の防衛局も同じシステム)
  • 一国の未来が、世界の未来につながっていく。世界の未来が、各国の未来を左右していく。
  • 環境問題と災害は、表裏一体の『命』の問題。そして、それは戦争の問題と深くかかわっている。
  • 「他の人のために…」と考え、行動する、熱い心の人たちが、日本全国、世界各国に、確かにいる。「命」を大切にする日本・世界づくりのために、みんなで手をつなぎながら、一歩ずつ…。「あせらず、力まず、あきらめず」を合言葉に。
  • 「日本は特別な国」ということを、ブラジル大統領府や州政府の人たちから、タイ政府の人たちから、よく言われる。その理由として彼らがあげるのは、「日本は、65年あまりもの間、戦争をしていない。」「日本人は、国民みんなで力を合わせて、敗戦・焼け跡からたった20年たらずで、平和な民主的文化国家をつくった。」「『一人の人間も、一つの国も、パーフェクトではない。だからこそ、手をつなぎ合わなくてはいけない。』そのことを、日本人は身をもって知っている。」そして、その理由に続けていつも彼らが言う言葉。「そういう日本人だからこそ、信用できる。そういう日本だから、一緒に歩いて行ける。日本は特別な国。」世界中の元気が、パワーが、なにかに吸い取られているようにさえ思える今、この時代に、「そういう日本人だからこそできること」があるはず。今、おとなも子どもも一緒に、「そういう日本人である自分たちができること」をさがし、行動していく。胸を張って一歩一歩…。その歩みこそが、10年後、20年後を託す“未来人(みらいびと)育て”。

ブラジル紀行10までお読みくださり、本当にありがとうございました。
これからもご支援よろしくお願いいたします。

近藤ひろ子

ミナスジェライス州政府庁舎前にて

ミナスジェライス州防災シンポジウム会場にて

地震災害に関する国際セミナー in モンチスクラーロ」会場にて

ミナスジェライス州立モンチスクラーロ大学学長さんらと

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